出版社内容情報
会食恐怖症と摂食障害――。人と食事をするのが苦手な葵と、過食嘔吐を繰り返す咲子。ふたりの少女がたどりいた”わたしたち”なりの食との正しい付き合い方とは。わたしたちが望む給食って、いったいなんだろう?
内容説明
少食で食べるのが遅い葵は、食事の時間が苦手。とくに給食は…。「小林さんさ、たぶん君、会食恐怖症だわ」無理に油淋鶏を飲みこんで気持ちが悪くなった葵は、保健室でクラスの問題児、咲子にそう言われる。実は咲子も、食にかかわるある悩みを抱えていた。そんな二人は、新任のイケメン栄養教諭に焚きつけられて、給食改革に乗り出すことに…。わたしたちが望む給食って、いったいどんなだろう?
著者等紹介
天川栄人[テンカワエイト]
岡山県生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。第13回角川ビーンズ小説大賞にて審査員特別賞、第9回集英社みらい文庫大賞にて大賞受賞。『セントエルモの光 久閑野高校天文部の、春と夏』、『アンドロメダの涙 久閑野高校天文部の、秋と冬』(ともに講談社)で第48回日本児童文芸家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
191
懐かしくて美味しかった学校の給食。お気に入りの献立が出る日は朝から心躍っていた。でもよく周りを見てみると、違う思いを抱いていた学生がいたのかもしれないことを今さらながら気付かされる。複数の学生が登場するが各々にはいろんな事情がある。見えない重圧に押し潰されてしまい、たった一口が喉を通らなかったりする。集団の中で共にあることは表面上では美しいが、共にあることは同じを求めるものではなく多様性を尊重すること。同調ではなく協調すること。他者と調和し合うことで閉塞感が緩和され自身の心と体のバランスは整えられていく。2025/05/24
☆よいこ
97
YA。会食恐怖症と給食▽中1の小林葵は少食で食べるのが遅い。料理家の母が愛情込めて懸命につくる食事が苦痛で、給食も苦手だった。「完食月間」運動のプレッシャーで保健室に逃げ込んだ葵は、不登校気味の咲子と仲良くなる。食べない・食べれないことでダメ人間扱いされるのは納得いかない。ムスリムのラマワティも一緒になって三人で「給食レジスタンス」活動をすることになる。イケメン栄養士橘川(きっかわ)先生はマイペース。咲子も過食嘔吐と向き合う▽困っているのは自分だけじゃない。巻末に相談先つき。2024.6刊。良本2024/08/18
美紀ちゃん
86
小林葵さんは会食恐怖症。咲子ちゃんは摂食障害。過食嘔吐してしまう。ラマワティちゃんは宗教上の理由で食べられないものがある。献立によってはお弁当を持ってきている。保健室で打ち明けあってお互いに少し楽になった。しんどいと感じていたことを共感できる人に会えて良かった。 葵は料理教室の先生である母に辛いことをずっと言えなくてモヤモヤしていた。自分の身体は自分が食べたものでできている。大人でも食事は難しい。マイノリティが尊重される時代。ちゃんと話を聞いて、お互いを理解することが大切。言う勇気も。2025/06/08
chimako
67
【読書感想文コンクール課題図書】サクサクっと読めてなかなか面白かった。私自身小学校の時は偏食&食が細くて小柄。給食はさほど苦ではなかったが固いニンジンや酢の物のワカメ、肉の脂身など「どうしよう」と感じる食材も頻繁だった。残さないのが当たり前の時代、汁のもで飲み込んだことも一度や二度ではない。それは病気ではなく私個人の好みの問題なので彼女たちの悩みとは質が違うが今も昔も食べることに関する悩みは尽きないよね。感想文も書きやすいと思うが視点がボケると上っ面だけになってしまうよね。読んで楽しい1冊だった。2025/06/22
さちこ
58
人には色々な事情があることがわからないから、思いやりを持つことは難しい。自分の基準でしか周りを見れないから幸せでもあり、それにさえ気付いてない2025/05/22