出版社内容情報
日がくれて、だれもいなくなった春の野原に、女の子がひとり、たっていました。エプロンのなかには、しろいこねこが、ねむっていました。野原にすててきなさいと、おかあさんにいわれたのです。
安房直子[アワナオコ]
著・文・その他
南塚直子[ミナミヅカナオコ]
イラスト
内容説明
ひがくれて、だれもいなくなったはるののはらに、おんなのこがひとりたっていました。エプロンのなかには、しろいこねこが、ねむっていました。のはらにすててきなさいと、おかあさんにいわれたのです。
著者等紹介
安房直子[アワナオコ]
1943年東京に生まれる。日本女子大学国文科卒業。在学時代から児童文学作品を発表し、やさしさあふれるファンタジーを書きつづけた。『風と木の歌』(実業之日本社)で小学館文学賞、『遠い野ばらの村』(筑摩書房)で野間児童文芸賞、『風のローラースケート』(筑摩書房)で新美南吉児童文学賞を受賞。1993年没
南塚直子[ミナミズカナオコ]
1949年和歌山県に生まれる。津田塾大学卒業後、ハンガリー国立美術大学で銅版画を学ぶ。『うさぎ屋のひみつ』(岩崎書店)で赤い鳥さし絵賞、『キリンさん』(小峰書店)で日本絵本賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はる
63
子ねこを捨ててきなさい。そう母親に言われた女の子が野原で見たものは…。安房さんの文章が美しい。とても優しくて、とても切ないおはなしです。1985年に刊行した作品を、南塚直子さん自身が新たに全て絵を描き直したもの。前作の絵は哀しさ、寂しさが強く印象に残りましたが、今作のタッチは全体的に優しくマイルドな雰囲気になっているように思います。2018/05/22
anne@灯れ松明の火
30
春の本コーナーで。3月下旬のイベントに持って行った。タイトル、表紙から想像したのとは違うお話だった。最後に登場する電車の行き先は、どういう意味なのだろう。乗せていいの? その先は幸せなところなの? 優しい話のはずなのに、たんぽぽの色は明るいのに、不安な気持ちが生まれた。【春を感じよう 読書会】2019/03/24
花林糖
20
(図書館本)【春を感じよう 読書会】優しく温かなお話だと思っていたら真逆なお話でした。電車の行き先はどこなのか気になりました。2019/04/13
りるふぃー
13
たんぽぽは優しいけど、やはり子猫の命は…。ファンタジーだけど、大切なところをごまかしてないのが良い。たんぽぽが助けてくれるからって 捨てていいということにはならないもんね。安房さんはグリム童話が好きとのことですが、このお話は、どちらかというとアンデルセンのような雰囲気がある。慈愛のような、子猫を見守る神様の存在みたいなものを感じました。 さし絵は、安房さん×南塚さんのコンビ、やっぱり すごくしっくりきます!2018/06/14
サラダボウル
11
これは、、、結構パンチのある絵本。子猫を、のはらに捨ててきなさいと、お母さんに言われた少女。「ねむっているうちに、さあ はやく はやく」たんぽぽの優しさ。迎えの電車に子猫を渡す少女。電車の中には、捨てられたたくさんの犬猫が、たんぽぽを飾って幸せそうに手を振ってくれる。安房直子さんの、こどもたちを見くびらない語り。絵もこどもの瞳をがっちりつかむ。2024/09/29