内容説明
鳥のことばを理解する力がある少女エレイサは、ある日空高く舞うタカに惹かれ両手をのばしたために、タカの鋭い爪で両目を奪われてしまいました。鳥の国で裁判にかけられたふたりは、罰として羽根の鎖でつながれます。羽根の鎖の魔法を解くため、エレイサとタカは魔女のもとへと向かい…。仮面少女、ワタリガラスを旅の友に、ふたりの成長を幻想的に描きます。フィンランドで最も歴史のあるトペリウス賞受賞作。
著者等紹介
フオヴィ,ハンネレ[フオヴィ,ハンネレ][Huovi,Hannele]
1949年、フィンランド湾沿いの港町コトカに生まれる。フィンランドを代表する現代児童文学作家。幼児やヤングアダルトなど児童書全般、絵本、詩など数多くの作品を手がける。精緻な観察眼で物語世界を描き、生と自然への愛と温かみを感じさせる文章、叙情的な語り口には定評がある。『羽根の鎖』は、児童文学分野に長期にわたって貢献した作家に贈られるフィンランドの児童文学賞、トペリウス賞を受賞した。フィンランド在住
末延弘子[スエノブヒロコ]
1975年、北九州に生まれる。東海大学北欧文学科卒、タンペレ大学フィンランド文学専攻修士課程修了。フィンランド文学情報センター勤務。フィンランド文学協会、カレヴァラ協会会員。現在、翻訳、通訳、執筆を手がけるほか、都内各所でフィンランド語講師をしている。横浜市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mocha
94
フィンランドのYA書。鳥を愛する少女が、ある日タカに見とれて掴もうとしたために、両目をつつかれ見えなくなる。〈鳥の裁判〉にかけられたふたりは魔法の羽根の鎖でつながれることに…。易しい語り口だが、哲学的な難解さ。人と影が切り離される不穏な人間界や、仮面少女が表しているものはなんだろう?するすると読み解けないこの読み心地は『星の王子さま』に似ている気がした。2016/05/02
はる
13
図書館本。少しばかり年齢を重ねすぎてしまったのかと思う。ぐちゃぐちゃでどろどろで自意識過剰で、自分のことも周りのことも良くわからなくて落ち込んでいた頃に、こんな本に出会えれば良かったのかも知れない。自由に空を飛ぶ夢を見たのはもう何年前になるだろう。得体の知れない怖ろしいものに追いかけられて必死に逃げている夢も、もう見ない。今でもいろいろなものに鎖で繋がっているけれども、見えないふりをしたりうまく捌いたつもりになっているのだろう。(もしかして、フィンランドはトロルだらけ!?)2016/05/31
詠月
3
フィンランドの児童文学です。歴史ある賞を受賞した作品。淡々としていますが、静かな熱意が感じられました。北国の春を待つ辛抱強さなのかもしれませんね。2014/04/18