出版社内容情報
行方知れずの父を探すため、少年は伊能隊と共に旅をする。没後200年を迎えた伊能忠敬の足跡を少年の視点で描く歴史読み物。伊能忠敬の生い立ちや、時代背景、当時の風俗、測量技術の進化など、解説ページも充実。
小前 亮[コマエリョウ]
著・文・その他
内容説明
数をかぞえながら、一歩ずつ歩くことで、たどりつける場所がある。いかにして日本地図は誕生したのか!?伊能忠敬の足跡とその時代がよくわかる、充実の解説ページ付き!
著者等紹介
小前亮[コマエリョウ]
1976年、島根県生まれ。東京大学大学院修了。専攻は中央アジア・イスラーム史。2005年に歴史小説『李世民』(講談社)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶち
108
井上ひさしさんの『四千万歩の男』は伊能忠敬の偉業を綴った歴史小説の大作です。この本は、その内容を児童向けにボリュームを減らし、最初の蝦夷への測量の旅に限った内容になっています。 この本では、単調となりがちな測量の旅の記録にミステリ要素も盛り込んで、読み物としても刺激のあるものになっています。また、"化政文化"や"シャクシャインの戦い"、"緯度と経度の解説" など、関連する史実や天文学の解説コラムもあって、中学生の課題図書らしい趣となっていますが、内容がちょっと平易すぎるように思いました。2019/08/21
chimako
93
謎ときもあって読み物としてなかなか面白かったが、中学課題図書としては易しすぎるか。途中に挟まれる解説も物語を細切れにしてしまうのが惜しい。伊能忠敬の蝦夷地測量一行に参加した平次(フィクション)の父親探しをエンタメの軸に、忠敬の人となりや偉業を歴史の軸に書かれた伝記物。副題の「伝説の怪魚」は最後の方に少しだけ出てくる。111ページに「あらかじめ用意した答えを導くために、都合のいい数字をあてはめる。それは学問において絶対にやってはならないことだ」という忠敬の言葉は真を語る。もう少し深く掘り下げても良かった。2019/06/10
☆よいこ
71
伊能忠敬の蝦夷測量に同行し、行方不明になった父を探す少年の話は創作。読みやすく面白くていい。幕間に解説が多くあり、図解やイラストも多くわかりやすかった。装丁も表紙もいい、良本。▽いつか、星に手がとどくといいな2019/05/16
いちろく
51
伊能忠敬の蝦夷測量に焦点を当てた創作を含む歴史小説と時代小説の中間のような内容。忠敬が隠居後に日本全国の測量に取り組んだ事は知っていたが、測量に関する知識も隠居後に習得したと知り驚く。人間五十年ではなく、数え50歳から新しい分野を切り開いた人は昔から居たと知り、胸が熱くなった。作中に挿入される測量に関するコラムも楽しい。2019/08/18
よこたん
50
“いくら手を伸ばしても、天の星にはとどかぬ。だが、頭で道理を考え、手足を動かして測量すれば、地を歩いても星にとどくかもしれぬ。それが学問だ” とても地道で、気の遠くなるような作業を積み重ねて、地図は作られたんだと改めて知る。コツコツとたゆまぬ努力の賜物。大きく頁をとって挟まれる解説が分かりやすくて、地学が苦手な私にも読みやすかった。史実を絡めた物語にわくわく。子どもの頃によく読んだ偉人伝より、とっつきやすいかも。『伝記・伊能忠敬』だったら多分手に取らなかったと思う。題名も表紙も素敵だな。2019/04/28