内容説明
究極のいじめられっ子・拓実。クラスが変わっても転校しても、ずっと暴力の標的になってきた拓実を救ったのは、汗のしみこんだ古い麦わら帽子みたいな匂いがする少年―「鬼」というだけで退治されてしまった、桃太郎の鬼みたいな少年だった。
著者等紹介
花形みつる[ハナガタミツル]
神奈川県生まれ。『ゴジラが出そうな夕焼けだった』(河出書房新社)でデビュー。『ドラゴンといっしょ』(河出書房新社)で野間児童文芸新人賞、『サイテーなあいつ』(講談社)で新美南吉児童文学賞、『ぎりぎりトライアングル』(講談社)で日本児童文学者協会賞と野間児童文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tokotoko
51
児童書には珍しく、かなりゆううつな空気が漂い続けるお話です。両親の事情で祖母の家で暮らすことになった小学5年生の拓実くん。性格と育ってきた環境が、彼をとてもものわかりがよくて、周りを見れる子、にしてしまいました。けれど、そんな彼を揺るがす人物(オイカワ)が登場して・・。大人も子どもも、貧しい人も、そうでない人も、強者も、弱者も、みんな平等な描かれ方をしています。だから、ゆううつながらも、ちょっぴり気持ちがよかったりもしました。こんな視点で、人を見て行けたらいいな!いつもフラットに。どこにも線をひかずに。2015/12/27
7petit
15
この本に出てくる人や状況は、特別なことじゃなくて私たちのすぐ近くで起きていること。そのことに対して自分がどう向き合うか、どう考えるのかを、筆者は投げかけている。読み終えた1人ひとりに、小さな勇気が生まれますように。その勇気が誰かを救うことに繋がりますように。2015/10/20
Yutaka Matsuzawa
8
体当たりしたタナカ兄と、オイカワの最後の視線が印象的。子供達が大人になりオイカワを思い出した時、何を感じるのだろうか。2015/09/18
クリスママ
8
「大人の顔色がよめるというのは難儀なことだ」とか「誰かといっしょにいて感じる寂しさに比べたら、ひとりの寂しさなんてどうってことはない」とか「親に愛されることがあたりまえな子供たち。彼らだけに許される傲慢と紙一重の自然さに気後れしてしまう」とか「善意を押し付けてくる人間は、なぜこうも自信満々なのだろう」とか・・・。主人公・拓実の小5とは思えない感覚の鋭さに心をグサグサ刺されっぱなしだった。最後まで拓実の母親が出てこないことでこの物語が引き締まっていると思う。それにしてもラストが切な過ぎる。2015/06/19
yu yu
7
すごく 良かった。です。 この本を どこで知ったのか 思い出せないのが残念。2015/06/18