怪奇の本棚<br> 幸運の木立

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  • サイズ B6変判/ページ数 376p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336078346
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

大戦時の爆撃で崩れかけた墓所に葬られていたのは、半世紀前に妻と四人の子供を手にかけた殺人者だという。サー・レジナルドは嫌悪を感じつつもその場所に惹かれていく……「ジャスパー・サラセンの納体堂」。
クリスマス・ツリーに用意されたモミの木は、手を付けてはならない禁忌の土地から運ばれたものだった。その日から屋敷では異変が相次ぎ、クリスマスの夜、ついに悲劇が……「幸運の木立」。
ゴルフ場の新たに改修されたホールで続発する怪死事件。そこはかつて〈血の林〉と呼ばれる危険な場所だった……「ダンカスターの十七番ホール」。
さらに棺の割れ目から這いだす長い毛の悪夢や、村の古老が語るクリケットの試合をめぐる幽霊譚、地獄の業火に悶えながら死んでいく男たちなど、多彩な題材と巧みな語り口による怪異描写でM・R・ジェイムズ以来の伝統を継ぎ、現代性も加味して英国怪奇小説黄金時代の最後を飾った恐怖の名匠H・R・ウェイクフィールドの傑作集。

動物愛護をテーマにした珍しい怪談や、犯罪小説的な要素をからめた後期の意欲作まで全14篇。
本邦初訳多数。

装幀:山田英春


【著者紹介】
H・R・ウェイクフィールド

イギリスの作家。1888年、ケント州で生まれる。オックスフォード大学を卒業後、新聞王ノースクリフ卿の個人秘書を務め、第一次大戦後は出版社ウィリアム・コリンズ・サンズで編集長として働きながら創作活動に入る(30年退社)。1928年、怪奇短篇集They Return at Evening を上梓し、好評を博した。以後、Old Man’s Beard (1929)、Imagine a Man in a Box (1931)、The Clock Strikes Twelve (1940) 等の短篇集を刊行、ゴースト・ストーリー黄金時代の伝統を継ぎつつ、現代性も備えた恐怖短篇を書き続け、「M・R・ジェイムズの後継者」と評される。犯罪実話や探偵小説の著作もある。1961年、最後の短篇集Strayers from Sheol をアメリカの怪奇小説専門出版社アーカム・ハウスから刊行。1964年死去。邦訳短篇集に『赤い館』(国書刊行会)、『ゴースト・ハント』(創元推理文庫)がある。


【訳者紹介】
渦巻栗

翻訳家。主な翻訳に、アルジャーノン・ブラックウッド「木に愛された男」(『新編怪奇幻想の文学3 恐怖』新紀元社、所収)、「ジョーンズの狂気」(『幻想と怪奇15 霊魂の不滅』、新紀元社、所収)、H・R・ウェイクフィールド「めでたい結末?」(『幻想と怪奇17 幽霊のいる暮らし』新紀元社、所収)、ラムジー・キャンベル「フランクリンの章句」(『グラーキの黙示2』サウザンブックス、所収)など。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

もち

11
「さようなら」◆明日に解体を迎える古いビル。長くそこで働いてきた従業員たちがお別れの会を催していると、不吉な音が響き渡り――。収まりはしたが、なお惜しんで残業する男を、衝撃が襲う。(『最後の退去者』)■約100年前に活躍した小説家による、幽霊恐怖短編集。墓場での遭遇、アウトローたちが繰り広げる闘争、スポーツと亡霊たちの融合、動物愛護に絡めた感動ものなど、涙ぐましいまでのバラエティに感心。完膚なきまでにやられる者、断絶レベルの厄災に見舞われる者、刺し違えてでも食い止める者。経路も末路も様々な、百鬼夜行。2026/09/27

酔花

2
これまで散発的に読んできた短編から、ウェイクフィールドはオーソドックスな怪談の書き手というイメージを持っていたが、本書を読んでアレンジも含めた名手であることを認識。「最後の贈りもの」は動物に纏わる怪奇譚。赦しを与えられる場面が良い。「クリケットにあらず」は正直クリケットを理解できていないので、描写についていけなかったが、村を挟んで諍いになるぐらいのスポーツだったんだなと感想を持つ。「旧友との最後の再会」は行くなよと何度も警告されているのに、殺人鬼の埋葬された墓地を訪れる男の話。巻き込まれた旧友が可哀想。2026/09/27

豆大福

0
「最後の怪奇小説作家」H.R.ウェイクフィールドの短編集。独自の編纂による全14編。恐らくほとんどが初訳。この人は1960年代まで、M.R.ジェイムズの衣鉢を継ぐ短編を書き続けていた。本書にも有名な『マグナス伯爵』と同趣向の作品が2つもあるが、よほど気に入っていたのだろう。登場人物たちはまるで怪異に魅せられたかのように禁忌の場所に向かい、破滅する。これが何とも怖い。解説によると晩年は健康面でも経済面でも厳しかったようだが、巻末の『旧友との最後の再会』など、この道に生涯をかけた作家の気迫が伝わって来る。2026/09/30

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