内容説明
近代化された呪術とカルト的場。日本の精神療法の流行は、グローバル化の一端であった。欧米の思想界に渦巻く“精妙な流体”が太平洋を渡って日本に流れ込み、呪術の近代化が始まる。第4部には、知職人が集うカルト的場に関する論考を収める。宗教学の“余白”を彩る、斯界のニッチ産業!
目次
1 魅する電磁気流体と近代日本(「電気的」身体―精妙な流体概念について;動物磁気からサブリミナルへ―メスメリズムの思想史;呼吸法とオーラ―オカルト心身論の行方)
2 民間精神療法の諸相(霊と熱狂―日本スピリチュアリズム史序説;原坦山の心理学的禅―その思想と歴史的影響;精神の力―民間精神療法の思想;民間精神療法の心身=宇宙観)
3 田中守平と太霊道の時代(太霊と国家―太霊道における国家観の意味;太霊道と精神療法の変容―田中守平から桑田欣児へ)
4 大正期のカルト的場(大川周明、ポール・リシャール、ミラ・リシャール―ある邂逅;大正期大本教の宗教的場―出口王仁三郎、浅野和三郎、宗教的遍歴者たち)
著者等紹介
吉永進一[ヨシナガシンイチ]
1957‐2022年。舞鶴工業高等専門学校元教授。京都大学大学院文学研究科博士後期課程宗教学専攻学修退学
栗田英彦[クリタヒデヒコ]
1978年生まれ。佛教大学、愛知学院大学等非常勤講師。東北大学大学院文学研究科修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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lyrical_otoca
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オカルト本ではなく傍流の宗教史なので、オカルト期待して読むと挫折する。内容自体は真面目なんだけど、大昔の議論を取り扱っている関係で滅茶苦茶な論理が展開されていて目が滑ってしまう。吉永進一氏に経緯払っているが吉永進一のやっているミスらしきものを注釈で指摘しているのはおもろかった。歴史の話だけれども、思想が強かった宗教がマニュアル化されて民衆に広まるのは割と今でもあることなので、人間ってあまり変わらんのかもしれない。日本固有の話としてはキリスト教等のバックボーンがない故に時が経つとそこが薄まるところはありそう2025/02/07