内容説明
ルソーがヨコオか、ヨコオがルソーか。横尾がどうしても意識せざるを得なかったアンリ・ルソーの画業に内在するデモーニッシュな部分とは何だったのか?―その答えがここにある。横尾のキャリアにおいて最も長期間にわたり描かれ続けているシリーズのひとつ「ルソー・シリーズ」全点を、最新作も含め完全収録した決定版!
目次
ひたすらルソーに眼を凝らして―アンリ・ヨコオ小論(遠藤/望)
図版(コメント|南伸坊)
Regarding Rousseau:Thoughts on “Henri Yokoo”(Nozomi Endo)
作品リスト
List of Works
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
158
横尾 忠則のシニカルなユーモアは感じられますが、アンリ・ルソーの元作品の良さのみ目立った作品集でした。 https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336075482/2023/12/28
buchipanda3
95
横尾忠則氏によるルソーへのオマージュ絵画集。その名もアンリ・ヨコオ・ウッソーって何とも愉快。まず見事に似せたタッチに驚く。でも違いはあり、悪戯心を見せる閃きの手が加わることでウッソーな絵に転換されていた。それはブラックな諧謔性に溢れ、元の絵(併載)を観る目を変えてしまう。色使いも青や赤が効果的だった。人形がアブサンに変わった子供の絵に思わずニヤリと。元々、素朴な画風のルソーにも奇妙さがあり、野生のライオンや蛇の存在などどこか危うさも潜む。その僅かな違和感から隠れた別の目線を露わにしているのが面白かった。2023/12/30
けんとまん1007
60
アンリ・ルソー。絵画は、あまり観るほうではないと思う自分でも、既視感のある作品が結構ある。そんなルソーへのオマージュが、横尾忠則さんならではの視点で表現されている。アンリ・ルソー・・改めて、その画風・タッチが独特な空間を感じさせる。静謐な時間の中の思いの深さ。ルソーの眼には、どんな風に映っていたのだろう。2024/01/28
たまきら
36
ルソーが結構好きなので、横尾さんにその気はないかもしれないけれど「オマージュ」や「本歌取り」というにはおチャラけが過ぎているというか男子学生ぽいというか、う~ん、イマイチ彼のテンションに乗れず。まあやりすぎが横尾さんだから、ある意味正しいんですけどね。2024/08/28
timeturner
8
「悪意のオマージュ作品」とあるけれど愛やリスペクトがないわけではないし、単なる模写やパロディでもない。「眠るジプシー女」を女の視点で仰ぎ見るように描いた絵がすごかった。ルソー、やっぱりいいよなあ。現実の風景を描いていても異世界観があるのがたまらない。2024/04/01