内容説明
中世ヨーロッパ最高の詩人、フランソワ・ヴィヨンの全詩集。『形見分け』『遺言書』『雑詩篇』―全編が待望の新訳なる。みずみずしい訳詩と詳細な註解解説とを合わせた画期的な一巻本。
目次
形見分け
遺言書
雑詩篇
著者等紹介
宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年生れ。東京大学・放送大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
15
15世紀生まれの、中世フランス最大の詩人フランソワ・ヴィヨンの全詩集。パリ大学を卒業するも窃盗や殺人の罪を犯して度々パリを追放、絞首刑に処されるところだったが一命をとりとめるなど波乱と放蕩の生涯を送った。詩は諧謔と皮肉と一抹のペーソス、そして至る所に諸行無常ー「メメント・モリ」がこだまする人生観と信仰心を感じさせ、安易な比較かもしれないがイタリアの画家カラヴァッジョを彷彿とさせられた。フランス語原詩も参照したが、端正で見事な韻律にこれだけ猥雑でイメージ豊かなデティールの言葉が乗っていることに驚かされる。2023/07/10
ターさん
2
詩人フランソワ・ヴィヨン、「生涯について我々が知りうることはまことに少ない」中世フランス、父親はいなかったが、司祭が育ての親になりパリ大学の学士号を取得した。しかし、殺人事件を起こす。数々の悪事に関わり獄に入ったり釈放されたりを繰り返す。間違いなくエリートであり、正真正銘のピカロでもある。保守的な時代にあって、ヴァレリーは、闇の中から「ぞくっとするほどくっきりとしたディテールでもって、ぬっと現れる」と。読み応えのある註解。ラブレーを訳す方法は、ヴィヨンには通用しないという。次は何を訳してくれるのだろうか。2024/02/21