内容説明
かつて「百貨店」は、そこに行けばすべてが手に入る魔法の玉手箱であった―。地元に愛され隆盛を誇ったものの今は消えてしまった全国各地の老舗デパートについて徹底取材。関係者の証言や当時の新聞記事などをつぶさに取り上げつつ、そのドラマチックな興亡の歩みを戦後の世相とともにあぶりだすノンフィクション。貴重図版300点以上掲載。
目次
プロローグ 悪疫の襲来(二〇二〇)
第1章 繁栄の日々(一九六〇~一九六九)
第2章 曲がり角の兆し(一九七〇~一九七九)
第3章 狂騒の幕開け(一九八〇~一九八九)
第4章 世紀末の災厄(一九九〇~一九九九)
第5章 新時代の試練(二〇〇〇~二〇〇九)
第6章 未来への混沌(二〇一〇~二〇二〇)
エピローグ 諸行無常の物語(二〇二〇~二〇二二)
著者等紹介
夫馬信一[フマシンイチ]
1959年、東京生まれ。航空貨物の輸出業、物流関連の業界紙記者、コピーライターなどを経て、現在は日本の現代史をさまざまな側面から照射する書籍の編集・執筆にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nishiyan
11
東急百貨店東横店(渋谷区)、前三百貨店(前橋)、伊万里玉屋(伊万里市)、丸正(和歌山市)、中合福島店(福島市)、岡政/長崎大丸(長崎市)、棒二森屋(函館市)、松菱本店(浜松市)、土電会館/とでん西武(高知市)、五番館/五番館西武(札幌市)、小林百貨店/新潟三越(新潟市)、大沼山形本店(山形市)の今は亡き12の百貨店を取り上げたノンフィクション。貴重な図版が300点以上使われており、参考文献リストもしっかりしたものとなっている。ここから各百貨店興亡の歴史を深堀していくのも良いだろう。2023/03/20
K.H.
8
なんともノスタルジックな気分にひたれるいい本だった。日本各地の老舗百貨店の創業から終焉までが取り上げられる。一つのお祭りのように生まれた百貨店。戦火や災害を体験し、その度に甦ってきたものの、街の不沈や商環境の変化で次第に行き詰っていく。そして最後の足掻きとも言える業態変更の甲斐もなく閉店……。往時を知る従業員などの証言も多く、読み応えがあった。文章もポップでわかりやすい。ただ、著者も自覚的ではあるが、読み手側としては「どうせつぶれるんでしょ」という諦めのような気持ちが、頁が進むにつれて強くなってしまう。2024/04/05
チョビ
5
東横は再開発に乗った「勇退」だが、田園都市線あたりにある小さいSCもいずれはここに出ていたデパートと同じ運命を辿るだろう。どのデパートも地主化してしまい、自分たちで何かをすることをやめていることが主に考えられた。あと身の丈に合わない拡大、特に自治体などとの共同作業かなー。あとは単純に成熟しきって、すべてにおいて「安い」を選択するのはどうなのかなあ?文化をダメにしちゃっているのはそういう意識の我々消費者だよな、と感じた。といいつつ「とりあえず」無印ですが、自分。2024/03/01
takao
3
ふむ2023/07/09
chuji
3
久喜市立中央図書館の本。2023年1月初版。書き下ろし。百貨店栄枯盛衰譚。取り上げているのは主に地方百貨店。オイラは幼稚園児の頃、東横百貨店の屋上遊園地で、回転ボートや観覧車に乗った記憶があります。昔は【デパート】って特別感アリアリでした。2023/03/29