内容説明
世界の文豪たちの影響を受け、若き日から脚本を執筆することで成長してきた黒澤明。『七人の侍』をはじめとする傑作脚本の生成・変更の過程を分析し、また他の監督たちに提供した脚本、新たに発見された未映像化脚本も加え、「脚本家・黒澤明」による創造の秘密を解き明かす。
目次
第1章 脚本家・黒澤明の誕生
第2章 敬愛した文豪たち
第3章 『七人の侍』創作の秘密
第4章 創造の軌跡1―『隠し砦の三悪人』をめぐって
第5章 創造の軌跡2―改訂の過程をたどる
第6章 創造の軌跡3―井手雅人とともに
第7章 黒澤明が提供した脚本たち
第8章 映像化されなかった脚本たち
著者等紹介
槇田寿文[マキタトシフミ]
1959年北海道生まれ。黒澤明研究家。NPO法人映像産業振興機構所属。「公開70周年記念映画『羅生門』展」(2020年)、「旅する黒澤明」展(2018年)、「生誕百年映画監督黒澤明」展(2010年)“いずれも国立映画アーカイブ”への企画協力・資料提供をはじめ、TV番組『イノさんのトランク~黒澤明と本多猪四郎知られざる絆~』(2012年、日本放送協会)の企画・監修、「国際ドストエフスキーシンポジウム」(2018年、ブルガリア)や「ラモン・マグサイサイ賞『羅生門』シンポジウム(2021年、フィリピン等)での海外講演、黒澤明研究会誌への論考発表など多様な観点から黒澤明の研究活動を続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
d3
31
国立映画アーカイブで昨年開催された同名展覧会の図録。 世界のクロサワとして映画史に名を残す黒澤明監督の脚本家としての側面に迫る。 黒澤も初めから監督だったわけではない。それでも監督昇格は同期より早かった。とにかく脚本を書く助監督だったからだ。 修行時代は先輩監督作品の脚本もゴーストライター的立ち位置で書いていたりもする。 リストアップされた脚本は100本近い。当然映像化されなかった作品も多い。 それでも情熱は消えず、脚本執筆のための創作ノートも多数公開されている。 力強い黒澤演出の根幹を見た。2023/02/15
ぐうぐう
27
国立映画アーカイブで開催中の「脚本家 黒澤明」展公式図録(残念ながら展覧会は未見)。これまで国立映画アーカイブでは、監督としての業績を振り返る「生誕百年映画監督黒澤明」展、ポスターを通じて黒澤映画がいかに海外に紹介されたかを知る「旅する黒澤明」展、そして『羅生門』に焦点を当てた「公開70周年記念映画『羅生門』展」と、黒澤明関連の数々の展覧会を開いてきた。今回は脚本家としての黒澤明に迫る。自身の監督作の脚本は当然のことながら、(つづく)2022/10/24
ファイロ・ヴァンス
1
黒澤好きの、黒澤好きによる、黒澤資料! 映画好きにはたまらない一冊です。2024/08/18
ホンドテン
0
図書館で。併読の黒澤(75/90)の理解補助及び裏付け、ついでに登場した脚本作品のポスターなど見られて眼福(三題話ででっちあげた「銀嶺の果て」とか)。「七人の侍」は『戦争と平和』ファジェーエフ『壊滅』(ついでに菊千代登場の難産)「生きる」は『ファウスト』から物語骨子を得ているという指摘には驚愕。更に名匠の愛読書にバルザックがあろうとは、登場する『フェルミア夫人』『知られざる傑作』『柘榴屋敷』は入門動機となる。2025/08/22
ruru3067
0
影響を受けた作品との比較や準備稿と決定稿を比較して決定稿で得られた効果などが書かれていて面白かった。2023/04/06