内容説明
イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活躍し、さらにエッセイスト・映画監督・作曲家など多彩な顔をもつ和田誠(1936‐2019)の代表作にして、映画エッセイの名著が愛蔵版で復活!記憶に残る“映画の名セリフ”をイラストレーションとともに紹介する本シリーズは、「キネマ旬報」で1973年から23年のあいだ断続的に連載され、全7巻の単行本にまとまり長年映画ファンに愛されてきた。今回オリジナルのまま再現した本体を函に入れた特別仕様で復刊、各巻に書き下ろしエッセイを掲載した栞を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
32
PART2で終わるはずが、出来てしまったPART3とあとがきにあるが、なんのなんの、和田誠は実に楽しんで、よもやの続巻を綴っている。『真夜中の刑事』を紹介した次の回は刑事繋がりで『ダーティーハリー』を、さらに『破壊!』を同じ理由で取り上げ、そこのセリフにフレッド・アステアの名が出てきたので、次の回ではアステアが出演する『バンド・ワゴン』を紹介するというように、リレー形式の構成が面白い。肝心のセリフでは、『たそがれの維納』の「女が肌を見せていいのは夫と医者だ。私はその両方だ」と、(つづく)2022/04/21
ゴールドまであと935日
25
これだけ多くの映画を観た、それだけでも著者は、素晴らしい。特に、アメリカ映画、幼い頃からよく観て、ある意味で、アメリカ文化に洗脳されてしまった。たぶん戦前も、そうではなかったか。なのに日本は、アメリカと戦争し、その後、なおのことアメリカナイズされてしまった。日本の映画といえど、その影響は否定も克服もできない。そうなってしまった我々日本人は、アメリカ文化の下から脱することはできない。あの鉄のカーテンが壊れたとき、東欧の人が、すべてを捨てて西へ走った。あれと同じである。当分、ずっとアメリカとは切れない。2022/09/30
まさ☆( ^ω^ )♬
9
PART3も楽しい映画エッセイ集でした。ようやく知ってる映画がチラホラ出てきて、楽しさ倍増です。引き続きPART4へ読み進めていきます。2023/05/27
うぼん
0
人生の辛苦を体験した人物の印象的な警句や皮肉な一言、弱者や若者に対する温かい眼差しの助言や忠告、呑気でお洒落な中年男女の粋でユーモラスな恋愛駆け引きトーク。あとがきにある通り、取り上げられているのはイルミネーション輝かしいアメリカ映画が中心なので、どの台詞もちょっぴり切なく軽妙で微笑ましいウィットがあって、ずっとこの夢だけにひたっていられれば幸せだ。50年代から始まる公民権運動や冷戦〜ベトナム戦争の影を纏った60年代半ばからの社会批判的テーマの作品はこの巻には少ない。その台詞は全く幸せなものではないから。2024/05/30