内容説明
書き下ろし/単行本未収録の掌編九本、書評二八編併録。
目次
書評(『職業としての小説家』(村上春樹)
『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16、1924年』(J・D・サリンジャー/金原瑞人訳)
『アナーキストの銀行家 フェルナンド・ペソア短編集』(フェルナンド・ペソア/近藤紀子訳)
『ペンギン・ブックスが選んだ日本の名短篇29』(ジェイ・ルービン編)
『ののの』(太田靖久) ほか)
創作(八月七日のポップコーン;センリュウ・イッパツ;水戸ひとりの記;両さん像とツバメたち;鎌とドライバー ほか)
著者等紹介
乗代雄介[ノリシロユウスケ]
1986年、北海道生まれ。法政大学社会学部メディア社会学科卒業。2015年、『十七八より』で第58回群像新人文学賞受賞。2018年、『本物の読書家』で第40回野間文芸新人賞受賞。2020年、『最高の任務』で第162回芥川賞候補。2021年、『旅する練習』で第164回芥川賞候補、第34回三島由紀夫賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クリママ
43
サリンジャーと柳田國男作品についての考察である表題作。興味深い部分もあるものの、どちらもほとんど未読なので、文字を追うだけになってしまう。2章目の書評は、国内外の28作品についての書評。こちらも、表題作と同様。3章目の創作は、9編の創作短編。「フィリフヨンカのべっぺんさん」は「十七八より」のシリーズにに繋がるもので、読みやすいが、その他はやはり実験的に感じた。本のカバーはプラスチック製で、表紙が透けて見える様子がやはり実験的でもある。難しかった。2023/09/22
メタボン
32
☆☆★ 文章が独りよがりな感じがして、この人の書評からは、読みたいという気持ちが起きなかったのが残念。ただサリンジャーと柳田国男を結びつける視線はなかなかだなと思った。創作集も面白くなかったが、死者の生前の行動に思いを寄せる「六回裏、東北楽天イーグルスの攻撃は」「フィリフヨンカのべっぴんさん」の2編は、そこはかとない哀感が良かった。2022/06/06
岡本正行
28
もう8カ月以上も前、図書館で借りて詠んだ本。難しいというか、読みたい気持ちはある。難しいというか、基本的な知識や関心がない内容、やはり勉強不足と本の内容についての読書意欲が薄かったのだと思う。図書館本だから、まあ手に取ってみれば、それなりに読む気も起ろうかとは思う。新刊本で読んだ、二度読むかもしれない。個性的な本だった。2022/02/20
かば
11
柳田國男とサリンジャーに共通する文学的態度について批評する表題作、数々の書評、いくつかの短編の三部構成で上梓された乗代雄介の最新作。柳田・サリンジャーの両氏と同じく、著者もまた、たしかにあったけれどいずれ忘れ去られてしまうあれこれを<書き残す>ことに光を見る。それは、『旅する練習』などの優れた作品を見れば明らかではあるのだが、本作に刻まれた数多の言葉が、やはりその事実を裏書きするのである。2021/12/30
ハルト
8
読了:◎ 批評、書評、創作のコラボ。▼批評は、サリンジャーと柳田國男の比較をしながら、小説というものを解いていく。うまく実感を得られないままではあったけど、印象深い。▼書評は、読んでいてなるほどとは思うけれど、いまいちしっくりと気持ちに馴染まなかった。好みの差かも。▼創作は、長さが掌編のものが九編あって、どれもおもしろかった。▼個人的思考の実験といえば、批評も書評も創作もそうなのだろうけど、それぞれの合う合わないがくっきりしていて、興味深い一冊だった。2022/02/24