出版社内容情報
生い立ちから創作過程、文学観、政治情勢から文明論、最先端の科学から宇宙論、そして人類の未来まで、あらゆるテーマについて縦横無尽に、融通無碍に語るレム。
文芸批評家のスタニスワフ・ベレシが聞き手となって1981年11月から1982年8月の間と、その20年後の2001年9月から12月にかけて行われた連続インタビューをまとめた本書は、すさまじい知力と博識の持ち主であり、SF作家という枠だけではとうてい収まりきらない、ユニークな思想家でもあるレムの偉容――科学の様々な領域と最先端の技術に精通し、古代ギリシアから近代の哲学までを頭に入れ、文学も古典から前衛まで博読し、さらには世界の文明と宇宙を一望に入れるようなスケールの大きな視野の持ち主――を浮かび上がらせる。
また本書は第二次世界大戦とホロコースト、戦後のスターリン時代、社会主義体制の行き詰まりと崩壊といった激動を生き抜いてきたポーランドの知識人が語ったオーラル・ヒストリーでもあり、歴史の第一級の貴重な証言ともなっている。レム自身が紡ぎ続けてきた自らについての物語の到達点にして、レムを知るために決定的に重要な一冊。
【〈スタニスワフ・レム・コレクション〉第Ⅱ期刊行開始特集ページ】https://www.kokusho.co.jp/special/2021/08/post-17.html
【著者紹介】
スタニスワフ・レム
1921年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『電脳の歌』など、多くのSF作品を発表し、SF作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70年には現代SFの全2冊の研究書『SFと未来学』を完成。70年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006年に死去。
【著者紹介】
スタニスワフ・ベレシ
1950年5月4日生まれ。ポーランドの批評家、文芸ジャーナリスト、翻訳家。ヴロツワフ大学教授。1987年から1993年まで、リール(フランス)のシャルル・ド・ゴール大学で研究員を務める。テレビ番組「テレビ文学ニュース」ディレクター・モデレーターを長年務めた他、ニケ文学賞やアンゲルス中欧文学賞などの審査員を歴任し、2013年からは、オソリネウム社『国民文庫』シリーズ編集長。専門分野は20世紀ポーランド文学とメディア・スタディーズ。多くの作家との対話を手掛け、ロングインタビューを単行本にする「対話の河」の第一人者として定評がある。主な著書に、『煉獄の半世紀──タデウシュ・コンヴィツキとの対話』(1986)、『対話によるポーランド文学史──20~21世紀』(2002)、『歴史とファンタジー──アンジェイ・サプコフスキとの対話』(2005)、『ガイツィ──死の輪の中で』(2016)など。2016年11月にはヴロツワフで大規模な国際レム学会議を主催した。



