スタニスワフ・レム・コレクション<br> 捜査・浴槽で発見された手記

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スタニスワフ・レム・コレクション
捜査・浴槽で発見された手記

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  • サイズ A5判/ページ数 442p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336071330
  • NDC分類 989.83
  • Cコード C0397

出版社内容情報

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イギリス各地の墓地にある死体安置所で奇妙な事件が起こる。初めのうちは死体が姿勢を変えたというちょっとした出来事だったのだが、やがて事件は死体が忽然と消えうせるという思わぬ事態へと展開する。いずれの場合も、死体消失が起こるのは霧深い深夜から早朝にかけてのことで、犯人も動機もまったく分からない。捜査の任を負ったスコットランド・ヤードのグレゴリー警部補が真相の解明に乗り出すが、真犯人につながる手がかりは見つからないまま捜査は難航を極める……冬のイギリスを舞台に展開するメタ推理小説ともいうべき『捜査』、3000年前、初期軌道探査遠征隊が持ち帰ったハルツィウス因子が、地球全体でパピル分解疫を引き起こした。これによりすべての紙は分解され、地球文明は記録も知識も失って崩壊した。未来の考古学者は長年の調査の末、ロッキー山脈の地層の下の巨大地下建造物〈第三ペンタゴン〉の遺跡から、奇跡的に保存されていた1篇の手記を発見する。『新第三紀人の記録』と題されたこの手記には、多層の迷宮のような建造物の中をさまよい歩く書き手の驚くべき経験が記されていた――疑似SF的不条理小説ともいうべき『浴槽で発見された手記』、レムの多面性を示す2篇を収録。


【著者紹介】

スタニスワフ・レム

1921 年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。地球外生命体とのコンタクトを描いた三大長篇『エデン』『ソラリス』『インヴィンシブル』のほか、『金星応答なし』『泰平ヨンの航星日記』『宇宙創世記ロボットの旅』など、多くのSF 作品を発表し、SF 作家として高い評価を得る。同時に、サイバネティックスをテーマとした『対話』や、人類の科学技術の未来を論じた『技術大全』、自然科学の理論を適用した経験論的文学論『偶然の哲学』といった理論的大著を発表し、70 年には現代SF の全2 冊の研究書『SF と未来学』を完成。70 年代以降は『完全な真空』『虚数』『挑発』といったメタフィクショナルな作品や文学評論のほか、『泰平ヨンの未来学会議』『泰平ヨンの現場検証』『大失敗』などを発表。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006 年に死去。



久山宏一

1958年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒、早稲田大学大学院博士後期課程中退。アダム・ミツキェーヴィチ大学(ポーランド、ポズナン市)にて文学博士号取得。東京外国語大学など非常勤講師。ポーランド語翻訳・通訳。専門はロシア・ポーランド文学研究。著書に『ミツキェーヴィチのソネットとロマン主義期のロシア・ソネット』(ポーランド語)、訳書にスタニスワフ・レム『大失敗』(国書刊行会)、アンジェイ・ムラルチク『カティンの森』(集英社文庫、共訳)、アダム・ミツキェーヴィチ『ソネット集』『コンラット・ヴァレンロット』(以上未知谷)、オルガ・トカルチュク『優しい語り手』(岩波書店、共訳)などがある。



芝田文乃

1964年、神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家。訳書にスワヴォーミル・ムロージェク『所長』『鰐の涙』(以上未知谷)、スタニスワフ・レム『地球の平和』、ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』『狂気の巡礼』『火の書』『不気味な物語』(以上国書刊行会)、ヴィトルト・シャブウォフスキ『踊る熊たち』『独裁者の料理人』(以上白水社)、共訳書にスタニスワフ・レム『高い城・文学エッセイ』『短篇ベスト10』『火星からの来訪者』、レシェク・コワコフスキ『ライロニア国物語』(以上国書刊行会)などがある。

内容説明

イギリス各地の墓地で起こる死体消失事件、スコットランド・ヤードのグレゴリー警部補は真相解明に乗り出すが、捜査は難航を極める…メタ推理小説『捜査』、地球文明崩壊後、地下遺跡から奇跡的に発見された1篇の手記に記されていた驚くべき記録―疑似SF的不条理小説『浴槽で発見された手記』、レムの多彩さをうかがわせる異色作2篇を収録。

著者等紹介

レム,スタニスワフ[レム,スタニスワフ] [Lem,Stanislaw]
1921年、旧ポーランド領ルヴフ(現在ウクライナ領リヴィウ)に生まれる。クラクフのヤギェロン大学で医学を学び、在学中から雑誌に詩や小説を発表し始める。多くのSF作品を発表し、SF作家として高い評価を得る。小説から離れた最晩年も、独自の視点から科学・文明を分析する批評で健筆をふるい、中欧の小都市からめったに外に出ることなく人類と宇宙の未来を考察し続ける「クラクフの賢人」として知られた。2006年に死去

久山宏一[クヤマコウイチ]
1958年、埼玉県生まれ。東京外国語大学卒、早稲田大学大学院博士後期課程中退。アダム・ミツキェーヴィチ大学(ポーランド、ポズナン市)にて文学博士号取得。東京外国語大学など非常勤講師。ポーランド語翻訳・通訳。専門はロシア・ポーランド文学研究

柴田文乃[シバタアヤノ]
1964年、神奈川県生まれ。筑波大学芸術専門学群卒業。ポーランド語翻訳者、写真家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

えか

55
サンリオSF文庫廃刊から30年、漸く読めました。天王星第三衛星よりもたらされた、謎の因子により、紙媒体の記録が全て失われた三千年後、(註1)巨大地下施設の浴室から二体の遺体と共に発掘された記録。という設定から始まる(註2)。当然、読者としては、何故、浴室にこの手記が残っていたのか、二体の遺体は、誰と誰なのか、という疑問を頭の隅に浮かべながら、本文を読むこととなる。〈私〉は、“庁舎”とよばれる迷宮の中で、自分の命令も目的も全て失われ、敵も味方も判別できない(註3)まま、あちこちへと彷徨い続けることとなる。 2024/07/08

不見木 叫

21
『捜査』SFとミステリの境界を漂うメタ推理小説。難解な謎の提示はレムらしさを感じさせつつも異質。閉ざされない物語。『浴槽で発見された手記』はスパイ小説の様でいてこちらも観念的。あやふやな読後感なのに後味が悪いというわけでもない。2024/05/31

ふみふみ

16
「捜査」は推理小説の形をとってますけど、とてもパラノイア。途中から何を読まされているのかわからなくなります。「浴槽で..」はまえがきの長ったらしさに早くも心折れまして未読、残念。2024/06/16

きゅー

14
今回は『浴槽で発見された手記』を読了。いかにも東欧的な官僚主義をおちょくるパロディ小説。たしかにカフカが思い起こされるが、レムと同じポーランド繋がりならムロージェクの『所長』などとも近しい関係にあるのでは。特別任務と言われつつもその目的が一切謎のまま庁舎を右往左往する”私”の姿は滑稽ではあるが、無慈悲な軛のもとで抑圧される人間だと見なせば哀れでもある。しかし、ここでいう無慈悲とは残酷や残忍の同義語ではない。慈悲という概念がない世界のことを指す。そしてそこには当然のことながら個人の遺志など存在しない。2024/06/27

きゅー

12
まずは『捜査』を読了。遺体が消失した事件が発生し、警部補がその犯人を探す。というミステリ的な装いをまといつつも、実際には思弁的な小説。読者があっとおどろくような結末が待っているわけではなく、そもそも事件は解決せず、物語は開かれたまま幕を閉じる。それが不満かといえばまったくそんなことはなく、様々なジャンルがブレンドされた精妙な物語は、本を読むという時間の純粋さを味わわせる。小難しいイメージのあったレムだが、この一作をもって他の作品も読んでみたいと期待が高まった。2024/06/21

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