内容説明
科学捜査と緻密なロジックで事件を解決。名探偵ソーンダイク博士。古典期から黄金時代まで活躍を続けた名探偵の軌跡を追う決定版全集。傑作揃いの短篇集『パズル・ロック』『魔法の小箱』を収録。
著者等紹介
フリーマン,R.オースティン[フリーマン,R.オースティン] [Freeman,Richard Austin]
1862年、ロンドンのソーホーに生まれる。ミドルセックス病院医学校で医師資格を取得。黄金海岸(現ガーナ)に植民地付医師補として赴任中に黒水病で倒れ、帰国後も後遺症に悩まされる。友人医師との合作でクリフォード・アシュダウン名義による怪盗ロムニー・プリングル物の短篇を雑誌に発表、好評を得たのを機に専業作家となる。1907年、法医学者ソーンダイク博士を探偵役とした長篇『赤い拇指紋』を発表。翌年から“ピアスンズ・マガジン”にソーンダイク博士物の短篇を連載開始。当時最新の科学知識や実験器具を駆使したソーンダイク探偵譚は人気を博し、シャーロック・ホームズ最大のライヴァルと目された。また、短篇集『歌う骨』(1912)は倒叙推理小説の嚆矢となった。1920年代に入ると長篇中心に移行し、英国探偵小説界の巨匠として長く活躍を続けた。1943年死去
渕上痩平[フチガミソウヘイ]
英米文学翻訳家・海外ミステリ研究家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
23
〈ソーンダイク博士短篇全集〉3巻である。科学捜査と緻密なロジックで事件を解決する名探偵ソーンダイク博士。古典期から黄金時代まで活躍を続けた博士の軌跡を追う!という話だ。「パズル・ロック」から「瓦礫で集めた情報」まで、どれもこれも超よかったね。さすが博士、そしてオースティン・フリーマン先生である。そしてこの巻をもって短篇全集も終わりだというのが、またいいねえ。いつかまた1巻から読もうと思う。2021/05/09
内島菫
22
全集も最終の三巻目ともなると、著者フリーマンの簡にして要を得た描写や執筆態度と、ソーンダイク博士のブレのない正確さに心地よいリズムを覚え、一種の様式美を味わえる。これは、厚い層のように積み重ねられた良質の短篇群ならではの読後感でもある。語り手となる人々の中でも特にジャーディスは愛すべきジュニア・パートナーで、フリーマン自身が述べているように「誤解を専門とする人」であり「その仕事は、すべての事実を観察して記録し、その意味を完全に把握し損ねること」である。2021/05/10
Urmnaf
12
ソーンダイク博士短篇全集も第3巻にして完結。短篇集「パズル・ロック」「魔法の小箱」の18篇にオマケつき。いずれも端正なミステリだが、博士は何が起きたかに説明がつけば、犯人逮捕は二の次だったりもする。特殊なアイテムが手がかりだったりと、さすがにネタが尽きてきたかな。それでも正統派の謎解きであることは変わらず。科学分析が個人の手を離れた現代では成立しないように見えて、違和感に気づくかどうかがミソだったりして、今でも通用するのかとも。2021/05/05
keik29
5
市図書館本とKindle版(上下巻)を。2022/06/04
tokyo-zodiac
4
「パズル・ロック」ミラー警視の要請で、美術品収集家ラトレルの家を捜索に加わったソーンダイクと私(ジャーヴァス)。ラトレルは失踪直前に窃盗犯の一味の男と接触しており、今は二人とも行方をくらましている。ラトレル自慢の金庫は15文字のアルファベットを揃えて開くタイプのもので、その組み合わせは天文学的な数字となる。だが案に相違して、Aが15個並んだ状態で把手を掴むと難なく金庫は開き、中にはラトレルと窃盗犯一味の男の死体が!私たちが更に金庫の中を調べていると突然金庫の扉が閉まり、中から開けようにも扉はビクともせず…2021/05/05