内容説明
孤独で薄幸な少女フロールは、ある日、共に暮らしていた親兄弟が実の家族でないことを知った。フロールは長い髪の不思議な女・小夜(シュ・アーカブ)とともに、本当の父を探しに家を出る。森で出逢う怪しい住人たち、暗示めいた夢の数々、マヤの伝統舞踊の美しい情景…夢幻劇的でエモーショナルな少女の成長譚「夜の舞」。薬師、霊媒師、助産師、蛇使い、売春婦など、生前に貧窮した境遇にあった女性たち。彼女らの霊魂が語る苦難に満ちた人生の数々を語り手ソレダーが書き綴った、寓意的でメタフィクショナルな物語「解毒草」。中編2編を収めた、マジックリアリズム的マヤ幻想小説集。
著者等紹介
カン,イサアク・エサウ・カリージョ[カン,イサアクエサウカリージョ] [Can,Isaac Esau Carrillo]
作家、詩人。1983年、メキシコ合衆国ユカタン州ペト市に生まれる。ユカタン州師範学校で芸術教育、ユカタン州の芸術院でマヤ語による文学創作を学ぶ。『夜の舞』でネサワルコヨトル賞(2010年度)を受賞した他、ワルデマル・ノー・ツェク・マヤ文学賞(2007年度)、ユカタン大学文学コンクール・アルフレド・バレラ・バスケス賞(2008年度)などの文学賞を受賞。詩の朗読や、演劇で演技や演奏も行う。2017年に急逝
フチン,アナ・パトリシア・マルティネス[フチン,アナパトリシアマルティネス] [Huchim,Ana Patricia Mart´inez]
作家、マヤ文学研究者。1964年、メキシコ合衆国ユカタン州ティシミン市に生まれる。ユカタン州立大学人類学部でマヤ語・マヤ文学を学び、マヤの口承文学に関する調査・研究・教育に従事。ユカタン州立東部大学(UNO)などで教鞭をとる。主な著作に『山の中の思い出』(2005年度エネディーノ・ヒメネス先住民文学賞、2013年刊)、「無駄だ」(2006年度ユカタン大学文学コンクール・アルフレド・バレラ・バスケス賞)、『ポケット版マヤ語辞書』(2005年)などがある。2018年に急逝
吉田栄人[ヨシダシゲト]
東北大学大学院国際文化研究科准教授。1960年、熊本県天草に生まれる。専攻はラテンアメリカ民族学、とりわけユカタン・マヤ社会の祭礼や儀礼、伝統医療、言語、文学などに関する研究。訳書にソル・ケー・モオ『穢れなき太陽』(水声社、2018年。2019年度日本翻訳家協会翻訳特別賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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