内容説明
泉鏡花(著)、澁澤龍彦(編)、山尾悠子(解説)、小村雪岱(装釘・装画)。美の司祭四人の饗宴。『春昼』『酸漿』『山吹』『蛇くひ』ほか、全21篇。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
180
先日の第二巻に続いて、順番が逆ですが、第二弾、第一巻です。2冊目のため、少し慣れました。また今回から菊版のブックカバー登場です。オススメは「春昼」&「蛇くひ」&「貝の穴に河童の居る事」です。続いて第三巻へ。トータルの感想は全四巻完読後に。 https://www.kokusho.co.jp/np/result.html?ser_id=201 2020/08/30
井月 奎(いづき けい)
45
「酸漿(ほおずき)」を読了。鏡花の世界は得も言われぬ美しさと地続きに、目の端にすらとまるのも困惑するような汚穢が同居するときがあります。芸妓の小銀がとなり合わせた老婆の汚濁に触れなければならない様子の執拗さは読んだ後に身を清めたくなるほどのものです。病的な潔癖症の鏡花はいつもは目を背けている汚濁汚穢につかまってしまうことがあるのではないでしょうか?鏡花はそれらを詳らかに書き上げるのです。幽玄と美の作家である鏡花の恐ろしさと懐の深さは彼が恐れをなしているであろう汚濁への筆が皮肉にも表しているように思います。2022/08/13
井月 奎(いづき けい)
42
「春昼」「春昼後刻」を読みました。鏡花のなかでも傑作の誉れたかい作品は、手に触れることのできる夢のよう。人の妻である美しい婦人は、心で契りを結んだ相手が根の国へ旅立った後に小野小町の歌に眠りと死のつながりを見つけ、生きることの切なさとかすかな希望をもとめる。そしてその夫人は……いや、たしかに鏡花のなかでも屈指の小説です。2022/09/18
ぐうぐう
37
1970年代、澁澤龍彦と種村季弘の共同で泉鏡花選集が編まれる企画があった。諸般の事情で実現せず、澁澤は亡くなったが、種村は生前に全14巻の『泉鏡花集成』を刊行している。幻となった澁澤セレクトによる泉鏡花選集、めでたく蘇ったのが本書である。しかも、解説が山尾悠子というのがたまらなく嬉しい。第1巻となる『龍蜂集』は、「春昼」や「外科室」といった鏡花の代表作をはじめ、「お留守さま」などマイナーな作品にも陽の目を当て、それでいて澁澤好みが伝わってくる、なんとも味わい深くも楽しい選集となっている。(つづく)2019/12/03
秋良
17
でかい!重い!高い!気合いの入った泉鏡花作品の選集。選んだのは澁澤龍彦。読む側も気合いが入る。文法や矛盾なんてなんのその、視覚優先の耽美な文は読む人の眼裏に鮮やかで毒の含んだ情景を美しく蘇らせる。この文章を日本語で楽しめる喜び。怪しいものが入り込む系と、淑やかに人が狂ってく系の話が好みだった。いやーこんな話を書く人が熱燗を煮え立たせてたなんて信じがたいわー。あーでもそれくらい変わった人だからこういう変態(褒め言葉)な話を思いつくのかー。2024/03/16