内容説明
『アンジェラの灰』でピューリッツァー賞を受賞したフランク・マコートが、一筋縄ではいかないアメリカのティーンエージャーを相手(敵手?)に、どんなときでも明るさと野心を持って正面から向き合った30年にわたるみずからの「教師人生」を、たっぷりのユーモアにひとさじのほろ苦さをまぶして描いた感動作。
著者等紹介
マコート,フランク[マコート,フランク] [McCourt,Frank]
1930年、アイルランド移民の長男としてニューヨークに生まれる。4歳の時アイルランド南西部の街、リムリックに移るが、父親が稼いだ金を全て酒に使うなど、一家は極貧の生活を送った。19歳で単身ニューヨークに渡り、さまざまな職業に就いた後、高校教師となる。30年ほどニューヨークのいくつかの高校で教鞭を執り、1987年に退職。1996年に刊行された、リムリックの幼少年時代の回想録『アンジェラの灰』は、ピューリッツァー賞、全米批評家協会賞などを受賞、ベストセラーとなり、アラン・パーカー監督により映画化もされた。2009年没
豊田淳[トヨダジュン]
1956年静岡県生まれ。慶應義塾大学文学部英米文学科卒。1980年から三十七年間、神奈川県の公立高校で教鞭を執る。現在、関東学院大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シュシュ
24
「アンジェラの灰」の著者の実話。マコート先生は高校生の心をこちらに向かせるように常に工夫する。料理のレシピ、新聞のコラム、童歌などを授業で扱う。「そのとき君に何が起こったか?何に心が動いたか?」と問う。この本を読むと、テストで合格するためのテクニックではなく、自分の頭で考えることが大切だと改めて思う。考えることは大変だから学生たちは嫌がる。でも、考えて言葉を紡いでほしい。著者の授業は批判もあったが、学生に心を寄せて信頼を大切にする姿勢が素晴らしいと思う。自宅でリラックスして採点をする姿もよかった。 2019/08/17
くさてる
18
ニューヨークの高校で30年教えてきた教師人生を振り返った自叙伝。66歳で書いた「アンジェラの灰」で知られる作家とのことですが、私は未読です。とにかく饒舌なお喋りがどんどん続くので、まるで隣に座っているおじさんの話に耳を傾けているような感じです。翻訳が素晴らしい。やる気のない高校生に文法を教える困難さ、保護者や学校組織との軋轢、自身の学究生活などテーマは幅広いですが、ぽつぽつと語られる生徒たちとのエピソードが素晴らしい。私は赤毛のケヴィンの話が忘れられない。良い本です。2019/10/27
ケニオミ
16
「アンジェラの灰」でよい印象が残っている著者の、高校教師時代のことを綴ったノンフィクションだということで、惹かれて手にしました。やはり普通の教師ではないですね。授業を通して生徒が何を学ぶかよりも、何を体験するかを重視していたような気がします。生徒にとってはあまり受けたくない授業だったでしょうが、得るものは大きかったのではないでしょうか。本書で著者は、授業で学んだのは私の方だと言っていますが、その成果が「アンジェラの灰」だったのでしょう。納得しました。2019/10/11
tom
12
マコートの「アンジェラ」はとても印象に残っている。そのマコートさんが書いた本ということで、図書館に注文。期待しての配本。ところで、この本、マコートさんの教師人生を書いたものだった。でも、私は、教師小説とか教師が書いた小説というのは、かなり苦手。たいていの場合、読んでいて楽しんだという記憶がない。理由は、いろいろあるけれど、ここに書くほどのものでもない(笑)。よって、この本は残念本。2019/12/08
Junko ama NANA
2
この作家の語り口が大好きだ。新作に出会えて本当に嬉しい。アンジェラ2作は、淡々と人生を描いていたが、本作は、そこに、自己卑下と自己評価がある。2020/01/09