紋章と時間―諏訪哲史文学芸術論集

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紋章と時間―諏訪哲史文学芸術論集

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  • サイズ B6判/ページ数 496p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336062499
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

小説とマイナー文学を論じ、澁澤、種村、ランボー、カフカ、春樹、映画、音楽、美術について語り尽くす。書下ろし、対談も収録。「時代錯誤な芸術至上主義者」を自任する著者が《マイナー文学》を論じ、[聖]澁澤龍彦、[怪人の師]種村季弘を始め、ランボー、村上春樹、夢野久作、中原中也、あがた森魚、四谷シモン、中島らも他を語る。大好評だった前著『偏愛蔵書室』に続く渾身の評論集。本書だけに書き下ろした重要稿《言語芸術論》80枚に、多和田葉子・谷川渥との対談も収録。

目次


序章
言語芸術論 音楽と美術の精神からの文学の誕生

? 言語芸術について
神々との里程
「作為見透かし症候群」について
文学のヘンタイを極める 講演録
どうすれば小説が書けるのですか?
「マイナー文学」と小説狂の詩
小説狂と呼ばれて 講演録
なぜ「書くこと」は「読むこと」なのか
わが内なる「外国語」 パリ大学のシンポジウムでの発表の報告
小説とは、芥川賞とはなにか
「声」、「文字」、「身体」の僕
言語芸術と「孤独」
「芸術」から「遊具」へ

? 作家論・作品論
澁澤龍彦が遺したもの 生誕八十年に際し
自画像としての静物たち 『澁澤龍彦 ドラコニア・ワールド』
澁澤さんが見ている
澁澤龍彦『エロス的人間』解説
サド、澁澤、その裏返された「聖性」
時には母のない子のように 『老魔法使い――種村季弘遺稿翻訳集』
『怪奇・幻想・綺想文学集―-種村季弘翻訳集成』
『種村季弘傑作撰?・?』解説
恩師種村季弘を語る 講演録(『種村季弘傑作撰?・?』出版記念)
『島尾敏雄日記――『死の棘』までの日々』
「声」との遭遇―-再帰する他者たち 古井由吉『やすらい花』
「謡い」の思考 古井由吉『蜩の声』
華麗なる罵倒 『ランボー全詩集』鈴木創士訳
ここに詩おわり、そしてここに詩はじまる 『ランボー全集個人新訳』鈴村和成訳
村上春樹『1Q84』を読む
村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』 インタビュー
『カフカ式練習帳』 保坂和志
『朝霧通信』 保坂和志
ある年の読書日記
六つの文学批評 
「漂流」への意志、ふたたび
百年目の太宰治 太宰治生誕百年
莫言さんとの出会い
ダダと「言葉の刻印力」―-中原中也の詩
もしも言葉が液体であったなら 川上未映子『先端で、さすわさされるわそらええわ』
Louisのいない透視図 前田塁『小説の設計図』
清水義範『イマジン』解説
『ポルト・リガトの館』 横尾忠則
『語感の辞典』 中村明
旅先で読む本 この時季おすすめの三冊と次の旅に持って行きたい本
煮え切らぬ時代の物語 広小路尚祈『金貸しから物書きまで』
三十一文字の私小説 野口あや子『夏にふれる』解説
私が選ぶ国書刊行会の三冊
書くこと……その愛と狂気 カフカ『ミレナへの手紙』池内紀訳
わが青春のフランス書院
らもん(中島らも)『全ての聖夜の鎖』解説
出版社を読破せよ!
古代が懐かしい……西脇順三郎の「永遠=超時間」 講演録
鉄路の先の異界 ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』芝田文乃訳
夜の夢こそ「リアル」
万華鏡の破れ穴 日影丈吉
GOZO―-器官なき「音楽体」 吉増剛造『GOZOノート1 コジキの思想』
「狂Q病」時代のニッポン 
瓶詰の亜細亜 夢野久作
小説は身をひるがえす 対談・多和田葉子×諏訪哲史

? 音楽・美術・その他
若きスノッブたち 哲学科時代の思い出
一筆書きツァラのこと
あがた森魚詩集『モリオ・アガタ1972?1989』
落ちた偶像 十六年ぶりのボブ・ディラン 
あがた森魚、もしくは詩の伝来 異邦からの二つの航路
友部正人「誰もぼくの絵を描けないだろう」
マリエンバートに囚われて
生の「絶対値」を求めて アキバ事件から考える
思い出の映画を、ひとつ
四谷シモン もしくは暴かれた「芸術の人形性」
夢のなかの書店
エロティシズムと聖性 プーシキン美術館展
書肆孤島の思い出
顔剥ぎ横丁 七ツ寺共同スタジオ四十周年に寄す
民話「とうせん坊」のこと
夜ごとの幻燈 山下陽子と闇のなかの光源
古代密儀的美術批評 相馬俊樹『アナムネシスの光芒へ』跋
村上芳正さんの『コクトー詩集』 『岩塩の女王』あとがきのあとがき
村上芳正 美に身を捧げた装画家

? 自作について
いま小説を書くということ
『アサッテの人』と『りすん』
かなしい、のはなし
『ロンバルディア遠景』への個人的所見 「ナハト」同人からの手紙
『アサッテの人』文庫版あとがき
『アサッテの人』中国語版刊行に際して
『りすん』文庫版あとがき
『領土』あとがき
点点点丸転転丸
『岩塩の女王』あとがき
「アサッテの人」執筆前夜 対談・谷川渥×諏訪哲史

あとがき

諏訪哲史[ スワテツシ ]
著・文・その他

内容説明

「時代錯誤な芸術至上主義者」を自任する著者が、“マイナー文学”を論じ、“聖”澁澤龍彦、“怪人の師”種村季弘を始め、カフカ、ランボー、村上春樹、夢野久作、中原中也、あがた森魚、四谷シモン、中島らも他を語る。本書だけに書き下ろした重要稿“言語芸術論”80枚に、多和田葉子・谷川渥との対談も収録。

目次

序章 言語芸術論―音楽と美術の精神からの文学の誕生
1 言語芸術について(神々との里程;「作為見透かし症候群」について ほか)
2 作家論・作品論(澁澤龍彦が遺したもの―生誕八十年に際し;自画像としての静物たち―『澁澤龍彦ドラコニア・ワールド』 ほか)
3 音楽・美術・その他(若きスノッブたち―哲学科時代の思い出;一筆書きツァラのこと ほか)
4 自作について(いま小説を書くということ;『アサッテの人』と『りすん』 ほか)

著者等紹介

諏訪哲史[スワテツシ]
1969年生まれ。作家。「アサッテの人」で第137回芥川賞と第50回群像新人文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

77
恥ずかしながら諏訪氏の作品は一冊しか、読んでいない。しかし、書評集である『偏愛蔵書室』が大好きだ。その本には言葉の韻律や響き、軽重、関係性などを一つ一つ、噛み締め、真摯に向き合い、大衆に媚びない姿勢が鮮烈に印象に残ったからだ。だからこそ、凛然とした作者の言葉や芸術への評論を余すことなく、収めたこの本を読める幸福を噛み締めている。同時に作者の博識と好奇心の広さ、自分を貫く姿、自分がしたいと思ったことにはすぐにアプローチを掛けるアグレッシブな姿勢、特に言葉や小説への向き合い方に頭が下がるしかない。2018/06/09

燃えつきた棒

34
2007年〜17までの11年間に書いた文学・音楽・美術などに関する論考、エッセー、講演録。 この人の文章が好きだ。 まだ、小説の方は読んでさえいないのだが。 最初に読んだ『偏愛蔵書室』で、その異様に絢爛豪華な文学的感性に圧倒されてしまった。 その「見者」の自負に満ちた独断と病的なまでの偏愛は、まだ、文学に力があった頃の作家たちを彷彿とさせる。 人から「時代錯誤の小説狂」と呼ばれ、また、本人自ら《僕は時代錯誤な芸術至上主義者だ。》と本書のあとがきに書いている。 現代日本においては間違いなく希少種だろう。/2021/07/31

zirou1984

26
著者が以前出版した書評集『偏愛蔵書室』は文学の魔導書とでも言うべき圧巻の完成度を誇っていたが、対談・エッセイを纏めた本作はさながら魔術の理論書であり、一層に圧倒させられてしまった。冒頭の書き下ろし「言語芸術論」にて展開される読みの可能性、言語芸術が連れてゆくイマージュとしての時間が持つ豊かさは言うに及ばず、他のエッセイでも言葉の端々から知性と博識さが溢れ出しており、読書という孤独な営みがこんなにも背筋を正してくれるのかと打ちのめしてくれる。ハードカバー500頁という大著だが、人生観を掛けて読むべき一冊。2020/05/01

スミス市松

17
音楽と美術の精神からの文学の誕生を願い謳う「言語芸術論」は必読だが、それ以上に数々の論考を読みながら考えていたのは、ひとつの文学作品と相対したときのたたずまいであった。大勢の他者と接触しアレルギーさえ起こしつつ単独性を高めて一人の真の孤独者としてあること。書かれた言葉の表面に立ち作品への跳躍を試みること。つぶさに観察すると同時にこの眼差しが作品の反映であると自覚すること。著者ほどではないが、この数カ月のあいだ気候も言語も違う各地を移動し自らを「シャッフル」したこともあって、明鏡止水の心持ちで読みふけった。2018/04/10

vaudou

14
音と文字と意味。言語芸術として文学を定義しつつ、あらゆる劃定の檻から言葉を解き放とうとする、孤独なる発話者の精華たる「言語芸術論」は云うに及ばず、軽重、長短を問わず掲載された批評もまた、この上なく審美的で、文体から何から自己言及性の眼が全てのセンテンスを被い、全ての文字までを律している。文学史の燦然たる文豪たちをも同じ言葉の遣い手として引き比べ、筆先は次の百年をも射程に入れる。これは当代の書き手の誰もが畏れてやらないことであろう。2018/04/30

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