内容説明
『砂の器』、『田園に死す』、さらに『超人バロム・1』まで―映画・テレビの現場で鮮烈な印象を残した「子役」たち。初インタビューや新事実の発掘を通して見た濃厚な「昭和」資料のアーカイヴ。
目次
第1部 インタビュー―伝説の子役とその時代(池田秀一―天才子役からアニメのカリスマヒーローに;春田和秀―『砂の器』で背負った壮絶なる子役の宿命;高野浩幸―変身ヒーローから寺山修司までを越境する;斉藤浩子―子ども番組をかけめぐる理想の「お嬢さん」;水野哲―石井ふく子から鈴木清順までを横断する ほか)
第2部 子役列伝―「昭和」の子役クロニクル(一九二〇年代生まれ;一九三〇年代生まれ;一九四〇年代生まれ;一九五〇年代生まれ;一九六〇年代生まれ ほか)
著者等紹介
樋口尚文[ヒグチナオフミ]
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。映画批評家・映画監督(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
でかぱんちょ
7
我々の世代でガンダムファンであれば、シャア・アズナブル役の池田秀一氏を知らない人はいない(と思う)が、氏がかつて有名天才子役であったことを知っている人は少ない(ガンダムを知らない私の母も池田氏のことは知っていた!)と思う。この本は氏を初めとしたかつての昭和の子役達のインタビューと、後半は「子役列伝」と名付けて年代別に多くの元子役達の経歴を並べた一冊。インタビューでは当時の時代背景と共に彼(彼女)等の人生も垣間見ることができて興味深い一冊でした。読了した今日は偶然にも「昭和の日」。昭和は遠くなりにけり・・。2018/04/29
田中峰和
7
法律に守られている平成の子役は芦田愛菜のように偏差値70超の中学に入学できるが、昭和50年代の子役は義務教育の出席日数さえ誤魔化していた。「砂の器」の名子役春田一秀は月に1回学校に通えるかどうかだったという。「子連れ狼」の西川和孝は20代で引退後、殺人事件で無期懲役を受けている。まともに通学できなければ悪影響を受けるわけではないが、春田は高校生で引退し別の道を歩みカスタムカーの会社オーナーになった。6人の元子役へのインタビューからわかるのは、映画の斜陽からテレビ隆盛への移行。巻末に128人の元子役名掲載。2017/10/09
YOUCO19
4
昔の映画「砂の器」とオーケストラの共演を見に行った時に紹介のあった本。砂の器、何回見ても子役の目力と声なき演技に泣かされる。その子役は今はどうしているか、というドキュメンタリーの本。昭和の子役たちは今のような労働基準法などなく、映画作りのために学校へ通えず… だからこそ生まれた今でも絶賛される映画。その矛盾はあるものの、とりあえず「今」は落ち着いた人生を歩まれているようでホッとした。6名の子役たちのその後の人生録。2018/03/22
hitotak
2
子供でありながら「子役」という一人前の役目を与えられ、大人の中に立ち混じりながら働くということが子供に冷静な観察眼を身に着けさせるのか、元子役たちの撮影現場の思い出は鮮明で、活気が目に浮かぶようで楽しい。学校二の次、連日深夜まで撮影が続くハードな日々のあと、大人の年代に近づいてくると今までが嘘のように仕事がなくなる苦しさも語られている。無邪気で子供らしく見えた昭和の子役たちも、相当大人びた考え方をもっていたようだ。じゃあ今活躍している可愛いあの子や賢そうなこの子は実はどうなんだろ?と考えるとちょっと怖い。2018/01/23
Norikko
2
子役から「大人役」になるのは、「大人役」に近い年齢に到達してから自らの意思で演者を目指して「大人役」からデビューするより難しい事だった。せっかくの努力や華々しい実績が、かえって心身のステップアップの妨げに向かうという矛盾に驚く。裏話的な面白さも豊富だけど、内容的にも物理的にも重い本。2017/10/03