出版社内容情報
「19世紀末のボルヘス」として注目を浴びる夭折の天才作家の初の全集。『架空の伝記』を始め、評論や単行本未収録短編までを収録。
現在大きな注目を浴びる、夭折の天才作家マルセル・シュオッブ。ヴァレリー、ジイド、ジャリをはじめ、ボルヘス、ボラーニョ、澁澤龍彦らにまで多大な影響を与えた、19世紀末フランスの小説家の初めてとなる邦訳全集。『架空の伝記』『モネルの書』『少年十字軍』『黄金仮面の王』『二重の心』等の全小説はもちろん、評論や単行本未収録短編まで収録。約4割が新訳。本邦初訳も多数収録。全1巻。推薦=皆川博子、山尾悠子
【著者紹介】
1867年~1905年。フランスの作家。
内容説明
夭折の天才作家の作品を全一巻に集大成した初めての全集。
著者等紹介
大濱甫[オオハマハジメ]
1925年生れ。2012年歿。元慶應義塾大学教授
多田智満子[タダチマコ]
1930年生れ。2003年歿。詩人・作家
宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年生れ。放送大学教授、東京大学名誉教授
千葉文夫[チバフミオ]
1949年生れ。早稲田大学教授
大野多加志[オオノタカシ]
1952年生れ。東洋学園大学教授
尾方邦雄[オガタクニオ]
1953年生れ。編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
23
硬質で美しい作品が収められています。作者は「拾穂抄」でスティーブンソンの小説に対し「非現実的なイメージこそ彼の著作の本質をかたちづくっている」と書いていますが、これは彼の小説のことでもあると思います。黄金の仮面を被った癩病の王、白い声を聞いてイェルサレムを目指す子供たち、少年にランプを売る幻のような売笑婦の少女などが闇のなかから淡い、しかし鮮烈な印象を持って現れ、闇のなかに消えていきます。作品それぞれが小さな宝石のようで、鉱石の標本を眺めるように楽しみました。「モネルの書」「架空の伝記」が特に好きでした。2016/04/04
きゅー
19
絶版が多い彼の著作が一同に集められた一冊。900頁ほどの丁寧な造本で、一冊の重量感がすごい。静かな夜にお酒でも飲みながら、ちびちびとページを繰るのが贅沢な時間だ。今回は、これまで未読だった3篇を読むことに。「モネルの書」中の「Ⅰモネルの言葉」の格言めいた導入部が好きだ。男性から逃れ去る女性のイメージは、ベアトリーチェを追い求めるダンテに連なる数多くの物語と同様に、二度と手に入れることの出来ないものの最たるものであり、心に痛みを感じさせる。37歳で夭折した彼の作品は多くはない。その一点だけが残念でならない。2017/10/10
Mark.jr
2
ちくま文庫あたりで小分けにして復刊して欲しいです。2021/11/01
プロムナード
1
うっとりする幻想と確固たる象徴性。彼は小説家というより、人類の「物語の元型」の語り手なんだろう。ダンセイニのように。「黄金仮面の王」はその結晶で、映像美に満ちた表題作、神話的スケールの「大地炎上」、儚い童心を映す「青い国」など、どれも想像力あふれる逸品ばかり。拾穂抄や評論を読むにつけても、ああ彼は象徴性をもって全世界を表そうと試みる作家なんだなと感じる。「架空の伝記」のウッチェロ伝にはそんな本人の姿が重なって面白い。最後の中編「木の星」では象徴性が大きな物語に開花しそうな胎動があり、夭折があまりに惜しい。2016/01/11
OHNO Hiroshi
1
短編ばかり。 「アウア」はエロチックな作品。2015/08/10