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出版社内容情報
ナポレオン軍占領下のスペイン、叛乱を指揮する謎の人物ボリバル侯爵はゲリラ軍に三つの合図を授けた。ボルヘス絶賛の幻想歴史小説。
1812年、スペインに侵攻したナポレオン軍に対し、ラ・ビスバル市ではゲリラによる反攻計画が噂されていた。民衆から偶像的崇拝を受ける謎の人物ボリバル侯爵が、叛乱の口火を切る三つの合図をゲリラの首領に授けたことを察知した占領軍は、これを阻止しようとするが……。 『夜毎に石の橋の下で』のペルッツが、ナポレオン戦争中のスペインを舞台に、巧緻なプロットと驚異のストーリーテリングで読者を翻弄、ボルヘスが絶賛した幻想歴史小説。
【著者紹介】
レオ・ペルッツ:1882-1957。プラハ生まれのユダヤ系作家。
内容説明
ナポレオン戦争時代のスペインを舞台に、謎の侯爵、さまよえるユダヤ人、青年将校らが織りなす宿命の物語。
著者等紹介
ペルッツ,レオ[ペルッツ,レオ] [Perutz,Leo]
1882‐1957。プラハ生まれのユダヤ系作家。18歳でウィーンに移住。コルテス時代の新大陸を舞台にした歴史小説『第三の魔弾』(1915、国書刊行会)で注目を集め、その後、幻想的な歴史小説や冒険小説で全欧的な人気を博した。ナチス・ドイツがオーストリアを併合するとパレスティナへ亡命した
垂野創一郎[タルノソウイチロウ]
1958年、香川県生まれ。東京大学理学部数学科卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
49
ナポレオン戦争時、スペインに派遣されていたナッサウ連隊、その部隊の壊滅の謎を追う歴史小説。こう書くとなんとも重厚な重い小説を連想させられるが、内容は飛び抜けて明るい。連隊の将兵がなんとも生き生きと書かれていて、そのくせ事態が行っちゃいけない方へ行っちゃいけない方へと進行してしまう。その主な理由が女絡みというのがなんともはや。さらにはそこへ謎めいた侯爵の意思と三つの合図、彷徨えるユダヤ人伝説も絡んできていて、「夜毎に~」同様、歴史と幻想が折り重なる風景を堪能することが出来る。いやはや何とも面白かった。2014/01/11
星落秋風五丈原
34
読み終わってみると「ボリバル侯爵」の物語であった。たとえ侯爵が序盤で命を落としたとしても。これは死者に生者が踊らされる物語。変装の名人である侯爵と、合図を知った連隊の知略を尽くした攻防が始まる!と意気込みました、読者のみなさま?残念、その予想はあっさり覆される。変装した侯爵がその変装を見破られることなく、内緒話を立ち聞きしたというつまらぬ理由で5人の兵士に殺されてしまう。なんだこれ!話が終わってしまうじゃないか!心配ご無用。ペルッツの物語では予言は必ず成就する。何と意地ワルなのだろうか、わが主は。2015/09/28
紅はこべ
32
ラストに辿り着いてから、もう一度冒頭を確認したくなる。果たしてこの語り手は何者か。何ゆえに、誰にも存在を知られていなかった手記を書き残したのか。ミステリならば、手記を書く動機というのは大事なんだけど。ボリバル侯爵は実在したのか。侯爵は自らが殺されることを計算に入れた上で、指示を出したのか。ナッサウ連隊が操り人形の如く、侯爵の暗示にかかったかのように、自滅する過程の描写が見事です。実は影のヒロインは連隊の男達全員を手玉に取っていた、指揮官の大佐の亡き妻。カルメンも真っ青のファムファタール。2015/07/27
かわうそ
28
グダグダな将校たちのデタラメな動きが最終的に連隊の破滅に至るまでの伏線回収の妙が素晴らしい。登場人物たちはもちろん作者の設計図通りに動いているんだけど、非常にイキイキとして単なる絵柄を完成させるための駒になっていない。これは凄い。2014/04/28
りつこ
24
幻想歴史小説なのだろうが、妙に浮かれたハイテンションがユーモラスでもあり異様でもあり。フィクションならではの世界観と、有り得なさそうだけどでもこういうことが起きるのが戦場なのかもしれないと思わせる描写が見事だ。勢いで読んでいって途中なにがなんだか分からなくなりもう一度戻ったりしながら読んだが、良かった~。ぺレッツは凄い。2014/01/31
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