出版社内容情報
時評を突き抜けた圧巻の日本映画時評集成、ゼロ年代篇。
徹底して日本映画の現在と格闘しながら、新たな〈活劇の行方〉を問いつづける――「キネマ旬報」に25年にわたって連載中の《日本映画時評》ゼロ年代分(2000~2010)を単行本化。つづけて80年代編、90年代編も刊行予定、全3冊で新しい形の日本映画事典が完成する。
内容説明
徹底して日本映画の現在と格闘しながら新たな“活劇の行方”を問いつづける―「キネマ旬報」で25年にわたって連載中の“日本映画時評”を一挙単行本化。
目次
初冬の映画日誌
大島渚と時代劇
ロッテルダムの深作欣二
eメール文体と映画
逸脱の勢いとの向き合い方
空気が薄い
報道と表現
阪本順治の跳躍
脚本家の怒り
ダメなものはダメ〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そら丸
4
これだけの日本映画を観続けるというのはただただ圧倒される。凄く体力が必要だと思うな。ピンからキリまで、はに着せぬ評論は素晴らしい。唯、北野作品と阪本作品は手放しで誉めてるのは如何なものか(僕も好きな監督ですが全作品が良いわけではないよね)。続けて過去の評論集も出るようなので楽しみではあります。読むのが大変だけどね。★★★☆2012/08/31
急性人間病
1
表層的な演出の妙に重点を置いた評論家としては、ハスミンよりこの人の文章の方が明らかにとっつきやすかろう。とかくこういうのを読むと、普段の俺はいかにも物語を漠然と追うあまり画面をまったく観ていないなという焦燥感にも駆られる。完全に党派的選択からニュートラルな立場で書かれたものとも思わないが、それでもあらゆるジャンルと上映形態下の作品を同じ俎上に並べて眺める悦楽には事欠かない。個人的には「蘇りの血」時点までの豊田利晃を褒めてくれた時点で山根氏とは勝手にお友達の気分(その気分に浸りすぎるのも危険とはいえ、ね)。2015/04/02
糸くず
1
日本映画が死に絶えようとしていく中でただひたすら映画を追いかけ続ける筆者の体力と好奇心が凄い。北野武や阪本順治といった筆者お気に入りの監督への賛辞よりも目立つのは、凡庸で退屈な映画への批判と閉塞的で先の見えぬ映画業界に対する苛立ちと怒りだ。また、相米慎二や深作欣二、岡本喜八といった素晴らしい監督たちを悼む声も印象的。昨日、『脳男』を観て「日本映画もここまで戻ってきたか」と思ったが、これから先はどうなるのだろうか。2013/02/13
garth
0
「翌11日、暴風雨が猛烈に窓を叩くなか、新聞へ送る短い追悼文を丸一日かかって書き上げた。苦行というべき作業だった。それを終えて遅い夕食をとったあと、テレビをつけたら、ニューヨークの超高層ビルが炎上していて、驚いて見守るうち、隣の超高層ビルに航空機が突っ込んだ。しかも生中継の真最中だという。ああ、ソーマイよ、いったい世界はどうなってるんだ……」2012/02/09