世界文学とは何か?

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  • サイズ A5判/ページ数 498,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784336053626
  • NDC分類 902
  • Cコード C0098

内容説明

ギルガメシュ叙事詩、源氏物語、千夜一夜物語といった「古典」から、カフカ、ウッドハウス、ミロラド・パヴィチ『ハザール事典』まで、翻訳をつうじて時空間を超え、新たな形で流通しつづける「世界文学」可能性を問う両期的論考。

目次

ゲーテ、新語を造る
第1部 流通(ギルガメシュの探求;法王の吹き矢;旧世界から全世界へ)
第2部 翻訳(死者の都で恋して;マクデブルクのメヒティルト、その死後の生;カフカ、故郷へ帰る)
第3部 生産(世界のなかの英語;活字になったリゴベルタ・メンチュウ;毒の書物)
ありあまるほどの世界と時間

著者等紹介

ダムロッシュ,デイヴィッド[ダムロッシュ,デイヴィッド][Damrosch,David]
1980年、イェール大学で学位を取得。コロンビア大学教授(英文学・比較文学科)を経て、ハーヴァード大学教授(比較文学科)。元アメリカ比較文学会会長。文学に対して幅広い関心を持ち、インターネットも含め、世界各地で旺盛な執筆・講演活動を行っている

秋草俊一郎[アキクサシュンイチロウ]
2009年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。関心はウラジーミル・ナボコフを中心にした亡命文学、小説論、翻訳論など

奥彩子[オクアヤコ]
2008年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。共立女子大学文芸学部専任講師。専門は、旧ユーゴスラヴィアを中心とする東欧文学

桐山大介[キリヤマダイスケ]
2009年、東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。現在、ニューヨーク州立大学オルバニー校大学院英文科博士課程在学。専門は、モダニズムを中心とするアメリカ文学

小松真帆[コマツマホ]
2000年、上智大学大学院文学研究科ドイツ文学専攻博士後期課程単位取得満期退学。現在、明治大学非常勤講師。専門は、オーストリア文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

燃えつきた棒

40
第六章でカフカが登場するまで、ギルガメシュ叙事詩やアステカの「メキシコ雅歌集」などの全く興味のない話が延々と続き、ひどく退屈だった。 しばらく積んでおいたのだが、貧乏性な性格のため、最後まで読んでしまった。/ 第九章「毒の書物」:ミロラド・パヴィチの『ハザール事典』をめぐって書かれたこの章で救われた。2022/07/27

fishdeleuze

20
世界文学とは何か?難しい問いだ。普遍的で統一的なものを世界文学に求めると正典(カノン)とはなにかという問題が出てくるし、また、マイナーな言語で書かれた文学はとりこぼされ、それらを網羅しようとすると、我々はその多様性の海の中で指針を失う。本書では、ゲーテ(とエッカーマン)、ギルガメッシュ叙事詩、ハザール事典など一見ユニークな文献とともに論が展開する。結論の一つとして、世界文学とは翻訳を通して豊かになる作品であり、翻訳されることによって参照される枠組みが変わりより多様に読まれるようになるという指摘は興味深い 2015/04/24

きりぱい

8
ありがちだけど名作文学を列挙した解釈みたいなものを期待していたら、全然違った。実際、ゲーテが最初に言いだした世界文学という言葉は、今の通念とはちょっと違ったのだ。劇的なギルガメシュに始まり、「翻訳することで何が失われ、何がえられるか」というテクストの形でとらえた翻訳の来歴。説明的過ぎるとちょっと手に余るのだけど、エピソードは面白い。だんだん翻訳で読むことに危ぶみを感じさせるのだけど、翻訳で本来の意味が薄まることさえ、前向きにとらえている新しい定義に安堵。ウッドハウスとメンチュウの項がよかった。2011/08/03

とんこつ

7
「普遍性自体が永遠不変の概念ではない」としながらも、世界文学にはやはり人間の普遍的な営み(愛し愛されること、生まれては死にいくことなど)が色濃く反映されているといえるだろう。今の世界を文学の観点から俯瞰してみたとき、軸が失われてしまっていることは火を見るよりも明らかだ。西洋文学=世界文学という構図は取り払われ、周縁文学とされた作品たちが新たな一面を見せ始めている。圧倒的に違った環境のなかで生まれた作品が時と場所を越えて遠くにいる誰かにもたらす共感(或いは理解できないという愉しみ)が世界文学の醍醐味だ。2015/08/11

にたいも

6
「非西洋作家あるいは西洋であっても地方の作家や下位的な立場にある作家によって書かれた作品はどれも、作品を編集する者、翻訳する者、解釈する者の直接的な関心や方針にとりわけ迎合させられやすい。だが、(中略)自分たちがしていることをきちんと自覚していれば、私たちはもっと公正にテクストを扱うことができるはずだ。」(p.47)選ぶ言葉で意味も雰囲気もがらっと変わる古代エジプトのヒエログリフの詩、グアテマラの先住民虐殺を世界に訴える証言文学と翻訳が削除してしまった数々のもの、改善されていく『源氏物語』の翻訳。 2024/02/10

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