内容説明
昔日の雅と恋の模様を活き活きとつづる。若き日の歌人吉井勇が心の風を読み、竹久夢二が相愛の美を描く。
目次
狩衣の裾を切り裂いて
三月初旬の、雨がしめやかに降る朝
海草を届けながら
隠れてしまった女への切ない思い
通い路に関守が立つ
連れだした女が鬼に食べられる
海辺の旅愁
信濃の、浅間の煙
富士山と都鳥
武蔵の国、入間郡吉野の里〔ほか〕
著者等紹介
吉井勇[ヨシイイサム]
1886‐1960。大正・昭和期の歌人、脚本家。伯爵。1909年3月に戯曲「午後三時」を『スバル』に発表。坪内逍遙に認められ、続々と戯曲を発表して脚本家としても名を上げる。1910年、第一歌集『酒ほがひ』を刊行。耽美派の歌人・劇作家としての地位を築いた。1915年、歌集『祇園歌集』を新潮社より刊行。1960年七四歳で死去
竹久夢二[タケヒサユメジ]
1884‐1934。数多くの美人画を残しており、その作品は「夢二式美人」と呼ばれ大正浪漫を代表する画家。また、児童雑誌や詩文の挿絵も描いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フリージア
34
帯の「昔日の雅と恋の模様を活き活きとつづる。若き日の歌人吉井勇が心の風を読み、竹下夢路が相愛の美を描く」という文章に心が震える。吉井勇氏は大正昭和に活躍した歌人と。竹下夢路の挿し絵もあり、かつて本は貴重だった事が忍ばれる装丁で丁寧に読まねばと思いました。が、和歌が難しく俵万智さんの「恋する伊勢物語」とスマホで解説を引きつつ読みました。2021/04/16
双海(ふたみ)
10
大正6年5月15日に阿蘭陀書房から刊行された、歌人 吉井勇訳・竹久夢二絵『新訳絵入 伊勢物語』が底本。昔日の雅と恋の模様を吉井勇の流麗な訳で。若き日の歌人吉井勇が心の風を読み、竹久夢二が相愛の美を描く。2023/11/22
大阪のきんちゃん2
10
高樹のぶ子「業平」を読むに際して参考文献として手に取ったのですが、現代語訳で竹久夢二の挿絵と相まってなかなか面白い読み物でした!2021/08/05
叛逆のくりぃむ
7
歌人吉井勇の手になる『伊勢物語』の現代語譯。格調高く、情緒溢れる飜譯に加へて、竹久夢二の手になる插繪が味はい深い。2014/10/30
maekoo
4
若き日の竹久夢二の伊勢物語の内容に合わせた挿画がいいっ! 伊勢物語は原文しか読んだことが無く、現代語訳は初ですが、吉屋信子の花物語等好きなので、その大正時代のロマンチックな雰囲気を醸し出している歌人吉井勇氏の訳文は大変愉しめました! 和歌も若干の違いが又趣があって良いです! 国書刊行会は様々な良い本を復刻刊行していて良いですね☆2021/12/14