内容説明
歌をうたうことによって肉体から精神を解き放つこと、それが「飛翔」である。宗教と経済に支配され食料危機が慢性化した近未来アメリカにおいて禁止されている「飛翔」の魅力にとりつかれた少年ダニエルは、ある日突然アイオワの有力者の策略により刑務所へ、そこから彼の数奇な流転の人生がはじまる。やがて結婚、妻のボウアは「飛翔」したまま帰らぬ人となり、抜け殻となった妻とともにニューヨークへ向かう。オペラ劇場で働きはじめたダニエルは、人気歌手のレイと出会い、恥辱と快楽にまみれた生活をおくりながら歌手を目指し、ついに成功を手に入れるのだが…SFのみならずゲイ小説、教養小説、音楽小説などのあらゆる要素を投入しながら、支配する者とされる者の宿命、芸術の喜びと悲惨をエモーショナルに描く、奇才ディッシュの半自伝的長篇にして最高傑作がついに復刊。
著者等紹介
ディッシュ,トマス・M.[ディッシュ,トマスM.][Disch,Thomas M.]
1940年アメリカ・アイオワ州生まれ。建築家を志してクーパーズ・ユニオンに入学するも挫折、生命保険会社に勤めながらニューヨーク大学の夜学に通い、62年に短篇“The Double‐Timer”でデビュー。その後、広告代理店、銀行など様々な職に就きながら、65年『人類皆殺し』で長篇デビュー。66年、イギリスに渡り、「ニュー・ワールズ」誌で異彩を放つ意欲的な作品を次々と発表、「ニュー・ウェーヴ」運動の中核作家として活動し、知性派SF作家として確固たる地位を築く
友枝康子[トモエダヤスコ]
1933年生まれ。東京女子大学短期大学部卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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