内容説明
世の中にはいっぱい面白い本があるゾ。“知る人ぞ知る”書評エッセイを10年分一挙収録!「読書の快楽」を味わいつくす一冊。
目次
「男女」の部分が面白い―荒木一郎『後ろ向きのジョーカー』
阪神間のハイカラ史―『阪神間モダニズム』
白洲正子に恋をした―白洲正子『おとこ友達との会話』
ガラへの愛こそが芸術―ドミニク・ボナ『ガラ 炎のエロス』
現在進行形の音楽家―照屋林助『てるりん自伝』
読む前に酒の用意を!―ロアルド・ダール他『ワイン通の復讐』
瑞々しさが光る対談集―『吉田健一対談集成』
あまりにも官能的な八十九歳―淀川長治『「生きる」という贅沢』
本物の“暴徒”フーリガン―ビル・ビュフォード『フーリガン戦記』
まさに「構えなし」の姿勢―藤沢秀行『人生、意気に感ず』〔ほか〕
著者等紹介
近田春夫[チカダハルオ]
1951年東京生まれ。ロックンローラー。’75年に近田春夫&ハルヲフォンとしてデビュー後、BEEF、ビブラトーンズなどを率いて活動する。同時にタレント・DJ・プロデューサー・歌謡曲評論家としても活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
60
マニアック本を刊行し続けている、国書刊行会の某氏の編集ワーク。「期待度を上げすぎていた」分、イマイチという読後感。近田春夫の書評文体は悪くはないのだが、取上げられる本に、あまり驚きがない・・。 たとえば、白洲正子の名前がこの本の中には何回が出てくるが。近田が自分で発見したものではなくて、連載時の担当の三宅菊子(anan創刊時のライター)の薦め。「白洲正子神格化」にウンザリしている者としては。「お勉強」のヤリトリに、ゲンナリ。 近田春夫がフィリップ・K・ディックの大ファンだというのは、この本で始めて知った。2009/02/01
gtn
23
著者は本との出会いにあまり拘りがなく、たまたまスタジオのマガジンラックにあった本や、ゴミ置場に捨ててあった本も読みふけってしまう。その書評も一作品につき三頁とコンパクトなのがいい。さっそく、荒木一郎他の著書を図書館に予約する。2021/03/13
imagine
13
近田春夫さんの批評力がここまで凄いとは。わずか原稿用紙3枚分の文字数で、どんなジャンルの本でも、その面白さを明確な言葉で伝えてくれる。とくに書き出しの短い一文の心地良さよ。あとがきでは、この本自体の面白さをじつに的確に解説されている。これは意図してのことか、それとも近田春夫の性分なのか。読みたい本がまた増えてしまった…。2018/09/21
unknown
7
近田氏による書評集があったとは、しかも国書刊行会から単行本が出ていたとは、という二度の驚きのもと手に取ってみたが、面白くてハマってしまった。気取らず・気張らずな読書スタイルのもと、原稿用紙3~4枚程度の分量で軽やかに勘所を突いた10年分の雑誌連載書評が収録されている。音楽関連の書は勿論のこと、SF(特にディックがお好きのようだ)、映画、エッセイ、絵画、評論、ノンフィクションまで、古書・新刊問わず多岐に渡るチョイス。ハッとさせられる一言も随所にあり、紹介されている本に一層興味がそそられる。2012/09/27
sawa
5
★★★★☆ 近田春夫って「『週刊文春』・『考えるヒット』でコラムを書いてる人」っていうイメージしかなかった。国書刊行会なのに、ゆるい表紙だと思って手に取ったら当たりだった。音楽はもちろん、タレント本、映画、SF、ノンフィクションなど多岐に渡るジャンル、しかも新刊から古本まで雑多に語る。「幻冬舎に強気さは『コレを買え』というのとは違う。『コレは面白いぞ絶対に』という強気さなのだ。(中略)レコード会社でいうと、エイベックスのような」、「“すごい”とは何とすなおな表現と思った」など独特の視点が面白い。(図)2012/12/23