内容説明
最愛の母の死、専制的な父との確執―現代のアイルランドを代表する作家マクガハンが、幼少時代から作家としてデビューするまでのみずからの半生を、時に美しく、時に過酷な相貌を見せるアイルランドの四季折々を背景に、穏やかなユーモアと郷愁を交えて綴った、静かな感動に満ちた回想録。
著者等紹介
マクガハン,ジョン[マクガハン,ジョン][McGahern,John]
1934年アイルランドのダブリンに、警察官の父と小学校教諭の母との間に生まれる。大学を卒業後、小学校教員となる。1963年The Barracksで作家としてデビュー。1965年の第二作『青い夕闇』が発禁処分を受け、教員の職を失い、ロンドンに出て、臨時教員や建築現場の労働者として働く。スペイン、アメリカなどを転々としたすえ、1970年にアイルランドに帰国、再び小説の執筆を始める。Amongst Women(1990)でアイリッシュ・タイムズ賞などを受賞、またイギリスのブッカー賞の候補作にもなった。現代アイルランドを代表する作家の一人である。2006年3月死去
東川正彦[ヒガシカワマサヒコ]
1946年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぱせり
3
アイルランドの四季折々の風景を背景にして描かれる作家の半生の物語。家族・親族の結びつきの強さが、印象的だった。成長していく子どもたちを助けた、いちばん大きなものは、すでにこの世の人ではない(天国にいる)母の見守りで、この母は、子どもたちと一緒にいられるわずかな時間に、一生分の宝を手渡した人だった、と思う。2022/07/08
fumi
0
フランク・マコートよりも経済的にも生活環境も恵まれた幼少期だったのだろうけれども、気分屋で強権的な父親と暮らすのは大変だったろうなぁ、と思う。そんな父親に対して、兄弟姉妹が団結したという点に、なんとなく納得した。2014/04/20
fumiaki kawasaki
0
とにかく昨今誤植は多いのですが、これは見過ごせないので明記。241ページの「天上桟敷の人々」は「天井桟敷の人々」の間違い。マクガハンの他の本を読み解くには必読本。2012/02/13