コミック 文体練習

マドン，マット【著】〈Ｍａｄｄｅｎ，Ｍａｔｔ〉/大久保 譲【訳】

国書刊行会（2006/09発売）

• サイズ B5判／ページ数 222p／高さ 24cm
• 商品コード 9784336048004
• NDC分類 726.1
• Cコード C0079

内容説明

同じ内容の１つの物語を９９パターンのコミックで描く―“ヴィレッジ・ヴォイス”誌「２００５年の２５冊」に選定された話題作、待望の日本語版がついて登場。ごく日常的な些細な１エピソードを９９通りの文体で書いた、レーモン・クノーの究極の言語遊戯本『文体練習』にインスパイアされたコミック版『文体練習』。視点の変化、形式の再構成、視覚的／言語的なパロディ、パスティーシュ（タンタン風、アメコミ風など）…あらゆる語り口を駆使して驚くほどの多彩な世界が展開する読んで愉しい実験作であると同時に、小説家・マンガ家・映画監督・脚本家・グラフィックデザイナー・アニメーターなどクリエイターを目指す人々にとって、創作のヒントが満載の１冊。

目次

ひな型
独白
主観
階上にて
冷蔵庫の視点
覗くひと
サウンドエフェクト
視覚効果
在庫一覧
マンガ入門〔ほか〕

著者等紹介

マドン，マット［マドン，マット］［Ｍａｄｄｅｎ，Ｍａｔｔ］
１９９０年代初めに、自費出版のミニコミック作家として出発。初のグラフィックノベルは１９９８年刊の『ブラック・キャンディー』（ブラック・アイ・ブックス刊）、２００１年には『オッズ・オフ』（ハイウォーター・ブックス刊）を上梓した。現在は作家・マンガ家である妻ジェシカ・エイベルとともにブルックリンに住む。コミックとイラストの両分野で活躍し、それぞれについてヴィジュアル・アーツ学校とイエール大学で教鞭をとる

大久保譲［オオクボユズル］
１９６９年生まれ。著書に『知の教科書　批評理論』（共著、講談社）など（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[ユメ]

この本は素晴らしい。これは実に素晴らしい本である。いと素晴らしき本かな。This comic is wonderful.この本めっちゃすごいねん。昨日読んだこの本は素晴らしかった。この本を読み終えた時、素晴らしいと思ったものだ。彼女はこの本を素晴らしいと思った。彼女はこの本を素晴らしいと思ったそうだ。彼女はこの本を閉じ、感嘆の溜息を漏らした。ーー表現の可能性が無限に広がる、視界がパッと晴れるような本。感動さえ覚える。本家レーモン・クノーの『文体練習』も絶対に読みたい。そして２冊並べて手元に置きたい。

2015/02/20

[とある内科医]

レイモンクノー『文体練習』を踏まえて、図書館より。マンガ版の文体練習。文字とマンガ、どちらが多様な形式を取り得るか？個人的にはマンガに軍配が上がるように感じた。

2022/12/11

[里馬]

すげー面白。願わくば日本の漫画家で続編求む。一般募集しても素晴らしい作品集になりそうだ。

2009/07/13

[井月 奎（いづき けい）]

良い創作指南書は良い読みかた指南書になります。Ｓ・キング、谷崎、デヴィッド・ロッジなどのそういった本がそうです。おかげで気付いたことは山ほどありますし、手に取らなかった本も読むようになりました。本書はそれらとは別のアプローチですが良い内容で、視点の違いが生む効果を教えてくれます。良い本はそのページ数よりも多くのものを入れていて、良い読み手は自分の経験や知恵、知識と有機的に組み合わせてより多くのことを自らの血肉とするのです。ただでさえローリスクハイリターンである本がさらにお得になるのですからたまりません。

2015/09/05

[田氏]

毒を喰らわば皿まで。レーモン・クノーの文体練習が気に入りすぎて、インスパイア作品も読んでみた。点と線から成る文章表現に対抗して、線と面でのコミックによって試みられるバリエーション。コミックでの実験といえば、相原コージ作「ムジナ」という漫画がある。連載開始当初よりシリアスなのか悪ふざけなのか、ギリギリの境界線上を剣の刃渡りしていたが、その挑戦意識の最たる顕現が"実験シリーズ"だった。コマ内に霊を描き込んだりして…え？今何時かって？ああ、1時15分だよ。ええと、そう……いったい何を話そうとしていたんだっけ？！

2018/12/31