内容説明
男爵家の血筋を引きながら殺人犯として外人部隊に逃げ込んできたピエラール、麻薬売人のスミス、少年たちを漁った男色家のシラスキー、オスカー・ワイルドに愛されたと自称するパチョウリ…ヨーロッパ、スラブ、アフリカから集まった人間たちの奇怪な絵模様が渦巻くフランス外人部隊を舞台に、みずからの破天荒な生を描き、セリーヌやブレーズ・サンドラールの精神的系譜に連なる傑作長篇小説『外人部隊』。他に、モルヒネ依存症だった自己の生涯を濃密に反映させた短篇小説集『モルヒネ』と、ダダイズム運動の貴重な証言『ダダ、アスコーナ、その他の思い出』を収録。先駆的アウトサイダー作家の待望の作品集。
著者等紹介
グラウザー,フリードリヒ[グラウザー,フリードリヒ][Glauser,Friedrich]
1896年ウイーンで生まれたスイスの作家。チューリッヒのダダイズム運動に最年少のメンバーとして加わり、フーゴー・バルやトリスタン・ツァラとともに活動する。モルヒネ依存症になったため、父親により精神病院に強制隔離される。以後は、精神病院、外人部隊、炭坑夫、庭師といった職業を転々とし、1938年に42歳で死去。生前は特異なミステリー作家として知られていたが、本書を中心とした死後出版された一連の作品によって、20世紀スイスの先駆的アウトサイダー作家としての評価が高まっている
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感想・レビュー
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柳瀬敬二
9
プルーストの影響が強いと評されるこの小説の舞台は戦間期のモロッコ。時期としてはリーフ戦争のまっただ中のはずなのだが、アラブ人勢力は登場人物の語りの中にしか出てこない。あくまでも、フランス外人部隊の駐屯地での生活が中心に描かれている。外人部隊に属するのは、スパルタクス団の生き残りやロシア革命で国を追われた人々。現地のアフリカ・アラブ人をも交えればそこにはグローバルな世界が横たわっている。同じブルジョワ階級出身でありながら、プルーストの華やかな貴族社会とは対照的に社会の底辺を彷徨った作者の自伝小説。2015/03/26
takao
3
ふむ2024/03/17