内容説明
オルガン奏者が何者かに襲撃され、不穏な空気が漂うトールンブリッジの大聖堂で、巨大な石の墓碑に押し潰された聖歌隊長の死体が発見される。しかも事件当時、現場は密室状況にあった。この地方では18世紀に魔女狩りが行なわれた暗い歴史があり、その最中に奇怪な死を遂げた主教の幽霊が聖堂内に出没するとも噂されていた。ディクスン・カーばりの不可能犯罪に、M・R・ジェイムズ風の怪奇趣味、マルクス兄弟のスラップスティックをミックスしたと評される、ジャーヴァス・フェン教授登場のヴィンテージ・ミステリ。
著者等紹介
クリスピン,エドマンド[クリスピン,エドマンド][Crispin,Edmund]
1921‐1978。本名ロバート・ブルース・モンゴメリー。イギリス、バッキンガムシャーに生まれる。オックスフォード大学卒業後、作曲家として活躍。オックスフォード大学教授ジャーヴァス・フェンが探偵役として活躍する長篇ミステリ9冊を発表。ミステリ書評やSFアンソロジーの編纂でも知られる
滝口達也[タキグチタツヤ]
1959年、兵庫県生まれ。慶応義塾大学文学部卒業。専攻英文学
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
31
すっかり、ウィットとユーモアのある作風が好きになってしまったフェン・シリーズ。新任のパイプオルガン士が人知れず、襲撃された挙句、就任するはずの教会で殺人の起こった。そこには魔女狩りの因縁があって・・・。サディスティックな犯人の魔の手、ナチスの台頭で緊迫する国際状況、思わず、残虐な私刑を課したくなる程、女を侮辱する良心の呵責がない司教の日誌に顔を顰めながらもクスリと笑わせる機知は健在。特に最後で危機に陥ったフェンの切り抜け方に唖然とした後、堪えきれずに爆笑してしまいました。なんちゅう骨断肉斬な作戦だよ(笑)2013/08/15
みっぴー
22
ウィットとフェンのキャラクターだけで読めてしまいますね!大聖堂の中の、さらにロープを使わなければ入れない場所で起きた殺人。かなり期待して読みました。そういえば生まれてこのかた「大聖堂」なる場所に足を踏み入れたことがなく、「オルガン・ロフト」→え?なにそれ?「南京錠つきの墓碑」→???ご免なさいよくわかりませんでした…。騙し騙しで読み進めましたが、トリックも結局良く分かりません(涙)それでも退屈せずに読ませちゃうんだから、やっぱりクリスピンって凄いです。2015/10/18
本木英朗
20
英国の本格ミステリ作家のひとり、エドマンド・クリスピンの後期の作品の一つが、これである。俺は依然、2004年に一回読んでいたため、今回で2回目となるが、うーん。やはりちょっと駄目だったかもしれない。話は次のように続く。魔女狩りの暗い歴史を背負った大聖堂で、巨大な石の墓碑の下敷きになった死体が発見される。密室の謎に挑むジャーヴァス・フェン教授の活躍やいかに?……とあるが、やっぱり途中からわけが分からなくなってしまった。一応最後まで読んだけれど、どうだろうか。3回目はもう少したってからにしよう。2019/12/21
y yoshi (イツモ ホンヲ ハナシマセンデシタ)
6
18世紀の主教の手記が面白かった。2019/01/02
聖月
6
◎アリバイとか、動機とか、そんな本格推理要素は、ああそうですか、そうなんですかと、頭に入れずに読み通した評者。とにかく、細かいおかしみを拾い読みして堪能した評者なのである。これだけ、ウィットにとんだドタバタな作品を書く作者なら、敬遠していた『白鳥の歌』も面白いのかも知らん2004/08/14