内容説明
「ピエール・グレンディングよ!あなたはかの父の一人子ではありません…この文を綴る手はあなたの姉のものなの。そうなの、ピエール、イザベルはあなたをあたしの弟と呼ぶ身なのです!」由緒ある家柄グレンディング家の若き後継者ピエール。美しき母とともに優雅な田園生活を送る彼の前に、異母姉と称する謎の女イザベルが現れる。濡れるような黒髪とオリーブ色の頬をした彼女の不思議な魅力に取り憑かれた彼は、イザベルを救うため、母も婚約者も捨てて彼女とともに都会へと旅立つ。やがて二人は、運命の糸に操られるまま、闇の世界へと迷い込んでいく…。あの『白鯨』の作者が人間の魂の理想と矛盾と葛藤を描いた、怪物的作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
41
物語は単純で、楽園のような農場で美しい母と天使のような許婚と暮すピエールが、異母姉を名乗るイザベルからの手紙をきっかけに破滅するというもの。語り手はキリスト的な自己犠牲を図り、また文学の高みを目指す彼を「天の生んだキリスト」や天に挑むタイタン族に例えるのですが、彼の地上善の動機の裏の薄暗いものも垣間見せていて、真実は曖昧になるばかり。彼を取り巻く人間関係についても浮上してくる疑問は、肯定されたと思えば否定され、嘲笑され、最後はすべて暗い霧のなか。この圧倒的で混沌とした物語を前に、一体何を言えるでしょう?2018/03/19
カケル
5
レオス・カラックス『ポーラX』の原作。映画が小説にかなり忠実だったことに驚いた。ラストの2丁拳銃なんかてっきりカラックス的ケレン味かと思ってたが、きっちり出てきてるじゃないか。 前半の田園編に対する後半の都市での彷徨が分量的に少ないのがちょっと不満(映画は逆)。社会状況による作品内リアリティの感受性が執筆当時と現在では逆転してしまっているのが一因か。 「世界のタガが外れて、なんの因果か元通りにする役目を負わされた。」 今も、盛大に、ハズレまくっている。2022/04/25
uburoi
4
『ポーラX』が日本公開された1999年に購入したもの。今年リマスター版公開を観たことをきっかけにようやく読むことができた。映画とは時代も舞台も違っていた。アメリカのド田舎から不道徳カップルが上京し文学にのめり込む。ピエールが暖房もない小部屋にこもって創作に苦しむあたりはメルヴィルの自伝的な要素も入っていそうだ。上京してとってつけたようにピエールは有名詩人に持ち上げられるが、映画では田舎のときから匿名作家アラジンとして有名なのだ。2026/04/05
BREATHLESS
4
自分はピエールの家柄・財産・美貌・知性とは全く無縁だ。しかし、物語の大枠を見るに、雲泥の差があるとは言え、一生を決する性急な行動とその儚い幻夢の中に自分を象徴的に見るようだった。語り手が理知的、詩的思弁の先に見据えるのは、茫漠とした、不可解な神秘。時代を通して世界を動かすのはこの淵源だ。極めて意欲的だが不安定なこのまなざしに、僕は言い難い共感を覚える。最後に言っておく。この物語の根底にあるのはデフォルメされた近親相姦願望であり、ピエールは現代版エディプスである。だから「曖昧」にしか表現できなかったのだ。2026/02/27
Hotspur
1
うーん、英語で言えば "not for me"。 解説もなんだかよく分からない。 メルヴィルで期待したが、残念。2018/07/13
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- 和書
- ロブロィエクの娘




