内容説明
ダダイスト、シュルレアリストの盲目的な崇拝を受け、ミシェル・フーコーを熱狂させ、渋沢龍彦、寺山修司らの偏愛を受けたフランスの作家レーモン・ルーセル。彼の奇矯な生涯、奇妙な創作術、夢幻的な綺想世界を、近年発見された膨大な新資料を交えて論じ、孤独な言語機械ルーセルを浮き彫りにする。
目次
レーモン・ルーセル小伝
新発見のルーセル
『アフリカの印象』
『アフリカの印象』から『幻のアフリカ』へ
『ロクス・ソルス』
『さかしま』から『ロクス・ソルス』へ
無償の機械、言葉の王国
ダダの中のレーモン・ルーセル
レーモン・ルーセルの演劇
ルーセル=ルソー
ヴェルヌとルーセル
死場所としての島
アディノルファの新たな発見―ルーセルの遺稿から
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラウリスタ~
6
ルーセルはフーコーによって知り、『ロクス・ソルス』だけは読んだ。そんなほとんど未知な作家についての本だったが、十分に楽しめた。『ユリイカ』に掲載された記事などをまとめたものだから、ちょっと、というかかなり繰り返しが多い、ただその分、基本的なことからしっかり学べた。ルーセルって、ボードレールとかマラルメ、そしてシュルレアリスムへと続く系譜とはまったく別で(そのぱっと見の印象とは裏腹に)、意外や意外、ロチやヴェルヌをあがめる作家だったんだ。詩ではなく神話を紡いだので、勝手気ままに演出されてもおかまいなし。2014/02/21
Bevel
3
19歳の時のいわゆる「栄光の感覚」、「ほとんど同音ながら、全く意味の異なる二行の文章をはじめに考え、その一行で始まって、もう一行で終わる筋を作り出すという方法」、ミステリーという形式、当時の反響、影響関係、伝記的事実、小説の筋の要約、独身者機械との関連性に関するそれほど説得的でない論拠、なんかについて書かれていた。深入りせず繰り返すだけでもの足りない気もするけれど、読みやすく紹介には良いのかなと思った。2014/07/01