内容説明
本書は他力信仰の本質を解明していくが、まず世界におけるさまざまな信仰のうちからいくつかの信仰形態を取り上げ、信仰についてのおおまかな理解をし、次に長い精神の苦悶と遍歴を経て深い他力信仰に至った親鸞、その信仰を噛み砕いて人々の心の中に生かそうとした蓮如、近代西欧合理主義との精神的苦悶を経、しかも不治の病との闘いの中で他力信仰の神髄に触れた清沢満之の三人の、それぞれの精神的軌跡を追いながら、「他力信仰」の本質を探る。
目次
第1章 信仰の諸形態(はじめに;未開社会の信仰;神道の信仰 ほか)
第2章 親鸞の信仰(信仰への道;親鸞の他力信仰の特徴;他力信仰の中でどう生きたか)
第3章 蓮如の信仰(信仰への道;蓮如の他力信仰の特徴;他力信仰の中でどう生きたか)
第4章 清沢満之の信仰(信仰への道;満之の他力信仰の特徴;他力信仰の中でどう生きたか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Masatoshi Oyu
3
自由と他力信仰は強く結びついている。自由は人格の独立が前提であり、絶対者への信仰がそれを可能にするからである。それは、自分を絶対的な基準との対比や結びつきで捉えるからなのだろう。相対的な自己認識では、個人の尊厳とか正義を重視するという発想が出てき難いということかもしれない。 また他力信仰が他者への服従を説いていることも重要であるように思う。つまりお互いに自由にし合うということだろう。してみるとやはり近代的な諸価値はやはりキリスト教信仰と結びついていて、本邦にいまいち根付かない要因なのだろう。2020/02/02
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