内容説明
ブリスリー村の旧家クウィリン家には、家督相続人のみが代々受け継ぐ秘密の儀式があった。当主ロジャーはフィアンセとの結婚を前に、19世紀以来途絶えていた儀式の復活を思い立ち、周囲の心配をよそに、幽霊が出るという伝説の部屋“通路の間”に閉じこもった。そしてその夜、恐ろしい悲鳴を耳にして駆けつけた一同の前に、背中を短剣で刺されたロジャーの姿があった。厳重な監視の下、内部から施錠された密室内で、如何いして凶行は演じられたのか。あるいは言い伝え通り出現した悪霊の仕業なのか。そしてその翌日、第二の密室殺人事件が…。不可能犯罪ミステリ研究の第一人者が、その知識を結集して書き上げた密室ミステリの逸品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
本木英朗
17
英国の本格ミステリ作家のひとりである、デレック・スミスの長編のひとつである。俺は2000年に一度読んでいた。ブリスリー村の旧家クウィンリン家には、家督相続人のみが代々受け継ぐ秘密の儀式があった。当主ロジャーはフィアンセとの結婚を前に、19世紀依頼途絶えていた儀式の復活を思い立ち、周囲の心配をよそに、幽霊が出るという伝説の部屋に閉じこもった。そしてその夜、恐ろしい悲鳴を耳にして駆けつけた一同の前に、背中を探検で刺されたロジャーの姿があった――という話である。まったく覚えていなかったので、(→)2023/11/29
Nak34
17
読みながら、密室完全犯罪は、学問になるなあと思っていたら、何のことはない、解説にしっかり説明があった。ただ、面白さでは、物足りなかったな。トリックは分かったが、動機がね。2011/10/28
みっぴー
11
謳い文句は完全密室。これは密室に通じる通路、窓に監視がついた状態での密室殺人。亡霊が出るという部屋で一人で一晩過ごすという家主。案の定背中にナイフが刺さって死んでしまいます。機械仕掛け、抜け道は一切無し。さてさて怨霊の仕業なのか…?最後まで緊張感を持って楽しめました!あと、心に残るというか、胸を打つかっこいいセリフが随所に散りばめられていたので、思わず声に出して音読したくなるミステリでした!2015/07/02
造理
7
★★★★☆ 密室研究家のアマチュアが生み出した密室ミステリの傑作。幽霊を絡めた儀式などオカルト要素もありますが、寄り道せずあっさり事件にいくのが潔いです。2つ事件が起きますが、トリック、推理、叙述の仕掛け等々申し分ない出来だと思います。とにかくシンプルで読み易いので万人にお勧めできます。2017/09/27
kado
5
仰天のトリックと言う物は一切な無いが素晴らしい密室ミステリだった。緻密で一つの疑問から推理を広げ犯人を見事に当てる手腕に脱帽。まさしく『困難は分割せよ』を見事に踏襲している推理でぼやけている部分が徐々にピントが合っていく感覚でした。パズラーミステリの傑作です。個人的にはクイーンとカーを混ぜた作品でした。2013/03/04