文学の冒険<br> ビリー・ザ・キッド全仕事

文学の冒険
ビリー・ザ・キッド全仕事

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  • サイズ A6判/ページ数 193p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784336035820
  • NDC分類 931
  • Cコード C0397

内容説明

左利きの拳銃、危険な恋人、夢見る殺人者、西部の英雄ビリー・ザ・キッド。そのロマンスとヴァイオレンスに彩られた短い生涯を、詩、挿話、写真、証言、インタビューなどで再構成。略奪と逃走、銃撃戦、つかの間の平和、激しい愛、友人にして宿敵、保安官パット・ギャレットとの抗争…さまざまな断片が物語る、愛と生と死の物語。アウトロー伝説に材をとり、鮮烈な生の軌跡を描いた、ブッカー賞作家オンダーチェのアヴァンポップ・フィクション。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

86
フロンティア時代の伝説的なヒーロー、ビリー・ザ・キッドの生涯を詩や短編、インタビュー、写真などの断片を通して描く小説。読みにくいし、ビリー・ザ・キッドについての歴史的な知識がないとよく分からない所があるのだが、面白くて一気に読んでしまった。鮮烈なイメージとひりひりする閉塞感が印象的で、リアリズムの小説ではないのに、アメリカのフロンティア時代を直接体験しているような感覚を持つことができる。死と隣り合わせになった官能的な描写も強烈で、エロスとタナトスの絡み合いがこの小説の大きなテーマだと思った。2014/11/15

かふ

15
「ダークサイドミステリー ビリー・ザ・キッド」を見たので思い出して取り出した。ビリー・ザ・キッドがアウトローなのに自由と反権力の象徴でベトナム戦争の頃にリバイバルされてサム・ペキンパーの映画が撮られた。その影響にあるかもしれない。詩や写真や本人インタビュー(当時の新聞記事)、エッセイで構成されたメタ・フィクション。国書刊行会の「文学の冒険シリーズ」の一冊だった。マイケル・オンダーチェが好きになったきっかけの本だった。

三柴ゆよし

15
ここにひとりの英雄あるいは悪漢のポートレートが一葉。真実と虚構の狭間にある彼の生涯を断章の形式により再構成したのが本書。キッドの独白、宿敵ギャレットの独白、その周辺人物たちによる証言、そして作者オンダーチェ自身の言葉が一冊の薄い書物のなかで奇妙に溶けあい、既存のキッド神話は解体される。手法としてはポストモダンだが、オンダーチェの紡ぎ出す言葉は、戦略とは裏腹の、抑えがたい官能のイメージに満ちている。自分でも何を読んだのか上手く伝えることができないのだが、とにかく綺麗なモノを読んだというその印象だけは残った。2011/12/18

algon

11
ある意味西部劇のスターに「全仕事」って妙な題目の本だなぁと。オンダーチェの小説として最初の仕事でなければ手を出さない題名だけどどういう趣向の本かと興味に惹かれた。牛泥棒や殺人、脱獄の経歴を著者色の強い詩をちりばめながら緊迫感のある展開でぐいぐいと押してくる。しかしやはり著者、軽薄なビリーザキッド物とは違い犯罪者の目線、逃亡の苦痛などは砂塵と汗の質感と共に読むものに訴えかけてくる。恋人との絡み、宿敵パット・ギャレットの影も緊張感の強いものだった。読み物として面白いかは読み手次第。写真は普通のあんちゃんだが。2022/05/02

春ドーナツ

9
ビリー・ザ・キッドとは誰か。知らないまま読み始める。アメリカ西部開拓時代のアウトロー、強盗。弱きを助け強きをくじく義賊として映画や小説で伝説的に描かれたことで、西部劇の英雄として人気がある(Wikipedia)。ビリーさんに関する資料をベースにして、自由奔放に散文的な詩とリリカルな小文がコンセプトアルバムのように配置されている。「とんぼの本」のように「全仕事」が紹介されている訳ではない。詩と小説を融合させて、このような本を仕上げたことでマイケルさんは称賛されている。今でいうハイブリッドですね。2017/07/14

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