内容説明
サーカス王バーナムの広告革命、世紀末広告界のアイドル、ワイルド、『ユリシーズ』における広告技法―意表つく切り口から広告と文学のダイナミックな相関を読みとく問題作。
目次
イントロダクション―広告と批評
第1章 広告者ディケンズ
第2章 人目を惹く著述業―アメリカ広告作家たち
第3章 「広告の時代」―ヘンリー・ジェイムズと広告の風景
第4章 『ユリシーズ』―広告と書く場面
エピローグ―終わりある広告、終わりなき広告
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
9
広告はその誕生からいかに文学に依存し、模倣し、やがて文学を必要としなくなったのか。19世紀から20世紀初頭にかけての広告と文学の相克を描き出す野心的論考。主に三期に分けて、ディケンズ、ヘンリー・ジェイムズ、ジェイムズ・ジョイスの読解から見ていく。文学作品が複数の言説の寄せ集めから成り立っているのは当然として、ここまでまざまざと作品が社会的コンテクストに依存しているさまを見せられるのは、本叢書の中でもこれが一番かと思う。精緻な読みに蒙を啓かれた。2012/05/09
EnJoeToh
3
良い本。2012/08/13
つまみ食い
2
Advertisement(広告)の語源からして、写本と文学に密接な関係があったという序論から説き起こされる小説の中の広告、広告の中の小説論。特に自らの小説の広告に意識的だったディケンズと広告取りをメインキャラクターにおいてジョイスの『ユリシーズ』論が興味深かった。2022/08/21
にかの
2
19世紀半ばから1920年代までを中心に広告の誕生から小説との関係、対立、そして広告がいかに小説を飲み込み、逆に小説が広告からアイデアの源泉を頂いていくか、その流れを各々の作品、人物の中から論じる一冊です。舞台は英国→米国→英国と推移していき、ディケンズやバーナム、ヘンリー・ジェイムズ、ジェイムズ・ジョイスといった当代一流の作品を通していかに広告が社会に大きな変化を与えたか、その作家に影響を与えたかを知ることができます。文化史の中のメディア的な側面を論じる本としては手元に置いておいて損はない一冊と言えます2012/11/10
shimojik
0
読んでみた。web前夜感のある、がっしりした広告史論。2013/02/11