出版社内容情報
夏目漱石 著
富士川義之 編
神秘的な恋愛を描く「趣味の遺伝」「幻影の盾」、史実を題材に幻想をくりひろげる「倫敦塔」。他に、「琴のそら音」「夢十夜」「カーライル博物館」「一夜」「変な音」「永日小品」「薤露行」。
著者紹介
富士川義之 (フジカワヨシユキ)
1938年生まれ。評論家・英文学者。著者に、『風景の詩学』『記憶のランプ』『幻想の風景庭園』など。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃおこ
23
audio-book。ラブリーな作品でした。タオルの表記がタウエルなのが印象に残った。2023/12/20
佐藤一臣
15
「琴のそら音」婆さんの語る犬の話が背景となり、友人の語る話をきっかけとして、再び婆さんの話で感化されていく主人公。何か悪いことが起こるかも知れないと徐々に疑心暗鬼になっていく様を見ると、人間の心持ちというのは容易く洗脳されてしまうんだと。理屈ではないだけに、もしかしたらと思わせられてしまう洗脳は、なかなか振り払うことは出来ないんですね。最後はちょっと主人公共々ほっとしました。これ、婚約者に担がれたのか。。。まさかね2017/03/02
Shosei
2
自分の知らない漱石がここに居ます。幽霊譚。アーサー王伝説。難解な漢文調。夏目漱石は教科書に載っているので模範的日本文を書いたと勝手に思っていました。古文漢文と現代文。ニホンゴと外国語。落語や大衆芸能の語り。漱石ほど言語の端境に棲み、文体の実験を繰り返した人はありません。まるでヒップホップ。有名な諸作品は全て、外国文学の影響を受けたどころか翻案に近いものばかり。漱石=古典というステレオタイプを捨てないと。アーサー王とギニヴィアとランスロットの三角関係が「こころ」の先生と妻とKの構図の下敷きになったとは…2021/02/20
Lin
1
正直、文学の授業で扱うまで名前すら知らない作品だったが、読了後の心地良さたるや・・・。もっと早くから出会いたかったと思える、漱石の隠れた佳作であると思う。率直に言って、迫力のあるシーンや読者に息をつかせぬ展開などがあるわけではない。ただ、じわじわと自分の人生が暗黒に侵食されていくかのような恐怖と、それが一瞬のうちに雲散霧消する心地良さがたまらない作品だと思う。読了後、凍える冬に春の日差しが差し込むような、ほっと温かい気持ちになれること間違いなし!2012/10/09
shuha
0
夢十夜を読みたくて手に取った。さすがの文章力だが、凡作もちらほら。2017/05/27