感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
12
ジャン・パウルは、当時はゲーテと人気を二分したほどの人気作家らしい。本書に収められたのは長編の抄訳で、しかも翻訳だから全貌がつかみにくいが、形式にとらわれない想像力の自由奔放さが魅力らしい。これがゲーテやシラーなどの古典派から嫌われ、ロマン派から評価された。だがロマン派ともちがって、著者が登場人物に完全に同化されない。主人公も理想化されずに一定の距離をもって描かれる。日常的なもの、つまらないことが、豊かな比喩や言葉遊びによって再び魔法がかけられる。だが、現世に多くを期待しない彼岸願望みたいのが同時にある。2022/04/06
がんぞ
0
総ての作品が長編、死後覚え書き書簡までも含めた膨大な全集が編纂された頃には忘れられた存在となったジャン・パウルは長大な大河小説のごく一部。戦場で死ぬのはこの上ない幸福で《死の天使》はやさしい、というようなことが書いてあるロマンチック。一文が長くて(そのうえ主要人物の固有名詞がよく似ていてややこしい)読み通した読者は愛好家にならざるを得なかっただろう。(ヘルマン・ヘッセなどにより再評価)俺も少し乗ってきたぐらい。クライストは代表作『ミヒャエル・コールハース』と同じく運命が登場人物をもてあそぶ皮肉な話ばかり。2011/11/11
kiris
0
ジャン・パウル、クライスト2011/05/25