内容説明
品が良くて物知りのおばあさまと、料理好きで内気な佐菜。日本橋の老舗「三益屋」に守られていた二人が世間の荒波に放り出され―神田の煮売り屋で働きだすものの客と満足に口もきけない佐菜にある日「家に来て白和えを作って欲しい」という依頼が。工夫で生まれる料理は美味しくためになる!江戸の出張料理、5つのストーリー。
著者等紹介
中島久枝[ナカシマヒサエ]
学習院大学文学部哲学科卒。食と料理をテーマに、雑誌や単行本の企画・構成・編集、ウェブサイト、イベント企画なども行い、2013年時代小説『日乃出が走る 浜風屋菓子話』でポプラ社小説新人賞特別賞受賞。ポプラ文庫より小説家デビュー。2019年「日本橋牡丹堂 菓子ばなし」シリーズと『一膳めし屋丸九』で、日本歴史時代作家協会賞文庫書き下ろしシリーズ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
94
ちょっと久しぶりの中島さん作品。やっぱり期待を裏切るコトなく、ほっこりベースで、相変わらず食べ物描写が秀逸です。とある事情で借家に越してきた謎のおっとりコンビ。気品があり博識なおばあさんと料理が得意な内気な「佐菜」。そんな二人が遭遇する下町の様々な出来事をココロ温まるステキな描写で綴ります。本作は料理の描写もさることながら、やっぱり中島さんならではの人と人との出会い、繋がりの描写が素晴らしいです。内気で人見知りの「佐菜」が少しずつ成長していく流れに胸がアツくなります。これからの展開がますます楽しみですね。2025/03/26
タイ子
92
中島さんが描く出張料理人の物語。少し前まで大店の帯屋のお嬢様・佐菜とおばあさま。店が倒産後、2人は今の場所に越してきた。佐菜は近所の煮売り屋で働き、おばあさまは手習い所の看板を掛けてるものの生徒は1人のみ。それでもおばあさまの知恵と見聞は大したもので頼りがいがある。ある時、人見知りの佐菜の元に出張料理の依頼が舞い込む。それを始めとして次第に増えていく仕事の依頼。これもみな優しくも厳しく見守ってくれる近所界隈の人たちのおかげ。人は一人では生きられない、誰かのおかげ。シンプルだけどほっこりする物語。2024/02/14
ひさか
63
2024年2月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。白和えはわが家の味、春日局の七色飯、江戸か明石か蛸飯対決、お食い初めの鱚のすし、昔の夢追う鮎の味噌焼きの5つの連作短編。出張料理をはじめた佐菜とおばあさまの奮闘記。乳母日傘で育った佐菜の素直な振る舞いと前向きな所作が心地よい。物識りのおばあさまや長屋の人たち、出張料理を頼んでくるお客さまとのつきあいが興味深く、仕事が軌道に乗っていくのが面白い。これほど面白いとは予想外でした。次巻が楽しみです。2024/04/02
あっちゃん
40
日本橋の老舗で守られていた娘と祖母、店が潰れ世間の荒波に揉まれる事に、とは言いつつも周りの人達は良い人達ばかりで穏やかな成長物語になりそう(笑)二作目も出たらしいのでシリーズとして続くみたいで期待大( ̄ー ̄)2024/09/08
たんぽぽ
29
お店を無くしたお嬢さんが料理で身をたてるってのはありがちな気がしますが、美人で賢いおばあさまの存在が特徴かな。 人見知りでもごもご話すお佐菜にいらいらさせられたけど、だんだん前向きになっていて、頼もしい。 今後に期待。2024/03/20