ゴシック叢書<br> 聖なる泉

ゴシック叢書
聖なる泉

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  • サイズ A5判/ページ数 323p
  • 商品コード 9784336027443
  • NDC分類 933
  • Cコード C0000

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

星落秋風五丈原

25
考えてみればおかしな話だ。我々が普通想像するあの怪物は、物理的な接触によって相手の生気を吸い取る。ところが、ヘンリー・ジェイムズが描くところの怪物は、接触なしに吸い取る事ができるというのが「私」の説だ。そもそも、賢さや美しさを人に移すことができるという発想がおかしい。そして、相手に失礼である。賢さにせよ美しさにせよ、内面からにじみ出てくるという事があるはずだ。なのに「私」は他人から奪い取ったと断じており、その事に気づいていない他の人たちを馬鹿にしている風もある。つまり確信犯的な鼻持ちならない語り手。 2025/01/12

Masa

2
奇妙な筋立ての、そして難解な小説です。作者は何を意図してこの作品を仕上げ、読者は何に興味を見出して読めば良いのか、最後まで掴み得ないまま読了しました。巻末に40項以上の訳者の解説があり、面白く読むためにはこちらから手をつければ良いのかも知れません。不可解な理屈を弄び、周りの人々を馬鹿呼ばわりする「私」がジェイムズ自身の投影、という読み方になるほど、と思います。 2022/08/03

HODGE

0
このパーティ参加者の中で誰と誰が付き合っているのか。「私」はそれだけを観察し、推理し、理論化を企てる。「私」の理論によれば、あるカップルの一人が聡明になるにつれてその相手は白痴化する、同様に別のカップルの一人が若返ればその相手は老衰化する──それが「聖なる泉」理論である。つまり吸血鬼のように相手から知能や身体能力(若さ)を奪う「加害者」と、それを奪われる「被害者」がいる。その徴候を見逃してはならない。その吟味のために「私」は「カントが『純粋理性批判』に費やした以上の知力を浪費する」(レベッカ・ウエスト)。2015/03/12

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