感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
113
ノ—べル賞作家の代表作という。英国社会の上流市民階級という設定。フォーサイト一族は初代の子供が10人もいて、それぞれが豊かな上流生活を楽しんでいる。三代目に当たるソームとその妻アイリーンが主役であることが全体の半分を過ぎてようやくわかる。それまでは二代目の誰某、三代目の誰某のどうでもいい毎日の状況が「無防備な読者」を悩ませる。ということでイライラ状態の中どうやらソームが発注した新居の設計及び建築の費用が予算に収まらないことが問題となって来るらしい。⇒2024/04/07
NAO
69
フォーサイド一族の財産家と身分違いの愛のない結婚をしたアイリーニ。彼女と、フォーサイト一族の総領息子ながら一族のブルジョア体質を嫌って家出した若ジョリオンを通して、ブルジョア体質を風刺している話。だが、アイリーニと若ジョリオンに共感できるかどうかで、この話の感じ方は大きく変わる。そこまで愛のない結婚を嫌ったなら、どうしてアイリーニは『自負と偏見』のエリザベスのように自己を貫かなかったのか。自分で結婚しながらそんな打算的な自分が許せなくて意固地になっているようで、個人的にはアイリーニには全く共感できなかった2019/10/04
ともりん
0
フォーサイト家の家系図がわかるまで苦労したけれど、金持ち=幸せではないのね。家庭内のいざこざを横目で見ている感覚は下世話だけど楽しい。ポシニーもアイリーニも詐欺師のような計算高さを持っていると思っていたらとっても純粋で、ある意味不運だったなと。この作品は角川文庫で『フォーサイト家物語』という題で刊行された過去があり、続きが気になり探したら1万円以上の高値。ノーベル文学賞受賞作家の作品は売れないかもしれないけれど、気軽に読めるようにしておいてもらえると有難い。2021/04/24