感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
棕櫚木庵
19
“ハイネはもっぱら詩人のように受け取られているが,しかし”(解説,要旨)というわけで,ハイネの実像を伝えるべく(?),詩5篇,小説・台本3篇,評論6篇という構成.頁数も評論が圧倒的に多い.しかし,残念ながら,評論は私には合わなかった.ハイネの立場,論調はなんとなくわかったけれども.創作部分も,言いたいことは分かるけど・・・という感じ.“ルネサンスにおける異教神(ギリシア・ローマの神々)の復活”との係わりで買ったハイネの『流謫の神々』が積読のままなのを思い出したけど,→2025/05/31
てれまこし
8
日本では最近ハイネはあまり読まれないらしい。美しい詩を平易な言葉で歌いあげる詩人というイメージが先行して、それが時代遅れになったのかと思う。だが、ハイネのもう一つの顔は残酷とも呼べるくらいの辛辣な諧謔や批評の名手である。一見矛盾するのであるが、本人の弁明によれば、理想が高ければ高いほど、中途半端な言葉で理想を語る人々が我慢ができなくなる。初期ロマン派では批評と詩は表裏一体であったし、だからハイネも初期ロマン派を評価している。ハイネのロマン派批判は、中世の霧のようなものに取り憑かれて批評性を失った点にある。2021/05/02