感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
49
ロマン派の作家ティークの作品集。妖精の国に迷い込んだり魔法使いが出てきたりという童話的なモチーフに彩られた物語が並びます。主人公たちは、彼らの理想を体現するような異界に足を踏み入れますが、様々な理由でそこを去り、悲惨な末路を迎える者も。しかし怖ろしい面もあるその異界は「なんと美しく人の心をひくことでしょう」。それは、その美が人の「心の奥底にある」ものであり、目指す美であると作者が信じていたからのように思います。そんなふうにかつて見、失った「崇高なもの」の一端を数十年後に掴む『怪しのさかずき』がとても好き。2021/06/17
作楽
11
民話のような、不思議な話を読みたいと思って借りました。独創的で読みごたえがあるものと、分かりやすいお話と。会話が少ないけれど、読み進めやすかったです。2015/10/14
てれまこし
7
「無限なるものへの憧憬」というのがロマン主義の特徴として挙げられるが、メルヘンは民話と違って既に自らを疑う文学である。「憧憬への憧憬」というべきもの。無限というのは常に闇の部分があるのである。だからロマン派は啓蒙の光の当たらない闇を探し求める。後に文学がリアリズムに向かったために二流文学とされたが、児童文学、マンガ・アニメなどの大衆文学を見るとむしろ現代に直接通ずる。命がけの恋が散文的な日常の均衡を破る無限への道として高められたのも、またロマン主義の遺産だ。通俗的な「ロマンチックな恋」の語源もここにある。2020/08/19
tieckP(ティークP)
7
ロマン主義は広範な運動だが、その小説における第一人者はやはりティークだと思う(ホフマンも面白いが、彼はロマン主義どうこうでなくホフマンである)。ノヴァーリスのように研究者受けしないために、この本は日本では貴重なティークの翻訳集になっている。確かに純粋な詩情という点では一流の作家ではないけれど、彼のメルヒェンは、本来の昔話としてのメルヒェンがもつ不条理を、理性のうちに再構成していて興味深い。おそらくカフカに通じるが、昔話やカフカは本能であり、ティークは計算でやっている。そのオリジナリティは再評価されていい。2013/12/21
ダイキ
4
大学図書館。『金髪のエックベルト』、『友だち』、『ルーネンベルク』、『愛の魔法』、『妖精』、『怪しさのさかずき』、『美しいマゲローネ』、『ハイモンの子らの物語』、『忠臣エッカルトとタンネンホイザー』2015/05/08
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