出版社内容情報
主人公フェルディナンの幼少期を覆う、数々の悲惨、溌剌とした冒険、人々のやさしさ――セリーヌがその類いまれなスタイルを確立し、人間=医師としてのみずからの志を確認した最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イボンヌ
5
訳者の後書きにあるように、絶望に生きた声を与えるもの。 「世界に対する巨大な否」、ブルジョワ的思想の容器を破壊するもの、とまとめられています。2023/09/10
poderosa2
4
心に木枯らしが吹き抜けるような青春を送ったら読むといい。2015/08/29
いたま
1
『夜の果てへの旅』の次に出版された作品で、セリーヌの幼少期の思い出に基づいているそうである(後の研究によると、この作品のようにめちゃくちゃではない幸福な幼少期を作家自身は過ごしたらしい)。医師の主人公フェルディナンの、貧しく壮絶で絶望に満ちた幼少期を、すさまじい舌鋒とユーモアで描いている。原書が出版された時は、伏せ字ばかりだったという話だが、翻訳は検閲なしのオリジナル版に基づいている。卑語雑言の嵐で翻訳の苦労が窺われる。しかし爽快な痛罵ぶりで、時より現れる詩的な描写が美しい。ポリコレ時代の解毒剤である。2022/01/24
季奈
1
Mort a credit、信用買いの死は作品中にあらず著者セリーヌの過去の清算に過ぎない。 人間という生物はより高次段階を己の中に見出し、現在の自己を再構成するものだが、この物語はセリーヌの生涯の一コマを抜き取って編集したものなのだろうか、停まっているように見えた。 しかし小説というものはそうでなくてはならないと思う。 余談だが、原文では卑語、俗語が数多に使われておりフランス語は日本語よりも多く、それらの語彙を持つようだ。2019/02/14
いそじ
1
大学生のときに読んだ。