感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
9
『ドン・キホーテ』の作者セルバンテスによる最晩年の作品。ノルウェーの果て、北極に近い別々の島国の王子と王女であるペルシーレスとシヒスムンダが、戦火とシヒスムンダをめぐる兄弟の争いから逃れるため、それぞれ匿名で郷里を出奔。海賊や盗賊、魔女などから襲われながらも聖都ローマを目指す物語である本書は、多くの語り手による身の上話やエピソードをはさみねがら波乱万丈のストーリーを繰り広げる。冗長なきらいはありながらも、最後までページを繰らせるのはやはりスペインを代表する作家の手腕だろう。できれば地図が欲しかった。2020/08/20