感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
7
近年、『ジャーゲン』『イヴのことを少し』が出版されたキャベルの〈マニュエル伝〉全18巻の最終章にあたるのが本書。化粧品会社の経営者ハロービーによる文壇から姿を消した作家フェリックス・ケナストンの記録書との体裁を採る。作中にケナストンによるエッタールとホルヴェンディルが時間と舞台を遍歴しながら出会っていくという物語をはめ込まれている。その夢想に使われるのが、スコーティアの印璽=妻のコールド・クリームのびんの蓋(!)というのが皮肉が利いている。巻末のリッチフィールド家系図とそれが醸す物語は圧巻。2021/02/28