出版社内容情報
我が国近代化のためにその生涯を捧げた渋沢栄一が晩年、折にふれ語った、処世から人生全般にわたる、滋味溢れる講話を集大成したもの。半世紀を経た今日でも、彼の肉声は私たちの心に強く響いてくる。
著者紹介
渋沢栄一 (シブサワエイイチ)
現在の埼玉県深谷市の豪農に生まれる。幕末の動乱期には尊皇攘夷論に傾倒、のちに一橋家に仕える。欧州各地を視察して帰国後、大蔵省租税司、大蔵権大丞を歴任。辞職後は実業に専心し、第一国立銀行(第一勧業銀行の前身)の創設をはじめ、実業界の第一線から退くまで500あまりの会社を設立、資本主義的経営の確立に大いに貢献した。晩年は社会・教育・文化事業に力を注ぎ、東京高等商業(現一橋大学)等の設立を斡旋し、東京市養育院等の各種社会事業にも広く関係した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kawai Hideki
31
渋沢栄一の講演録。彼の生涯の念願である「論語と算盤(=道徳と経済)」の一致について、当時の事件、自らの人生の岐路、尊敬する人物などと、漢籍の言葉を照らし合わせながら、分かりやすく語りかけてくれる。引き合いにだされる事件としては、日露戦争、第一次世界大戦、乃木大将の自殺、パナマ運河完成など。尊敬する人物としては徳川家康が何度も登場。当時の日本の課題に対し、渋沢が提示する対処の仕方は、現代にも通ずる物が数多くあり、「時の試練」を経て今なお古びていない名著と言える。特に最後の説話「成敗は身に残る糟粕」に感動。2013/12/14
みのくま
8
渋沢栄一の講演などを纏めた本書は、二宮尊徳の事で西郷隆盛と会っていたり、米国好きの渋沢が米国の排日的方針を憂いていたりと全体的にかなり興味深い。また題名にもなっている論語と算盤の関係性も示唆に富む。渋沢は富国は官のみでは能わぬと判断し早々に野に下る。民間の活力を重視した訳だが、民間に任せると利己主義が蔓延して統制が取れなくなるとも考えた。そこで宗教に頼らない儒教道徳を中心に据え、アジア的資本主義を模索したのだ。この渋沢が、富の格差が苛烈なる今日の日本の紙幣に刻印される事の皮肉さに何とも言えない気持ちになる2024/06/17
あや
7
今月から壱万円札の顔になった渋沢栄一について知りたくて読んだ本。それなりの業績はこの本を読めばわかる気がするが論語を基本に道徳について厳しかった渋沢が女には殊の外だらしなかったそうだ。なぜ壱万円札の顔になったのだろう。2024/07/19
mkt
7
何か一と仕事をしようとする者は自分で箸をとらなければならない/智、情、意:奇矯に馳せず、頑固に陥らず、ぜひ善悪を見分け、利害得失を識別し、言語挙動すべて中庸に適うもの/習慣の感染性にと伝播力/志が善良で忠恕の道に適っていても所作がこれに伴わなければ、世の信用は受けれない/人生は努力にあり/能く集め能く散ぜよ/すべからくその原因を究むべし/進歩は飽くまでするが、悪競争をしてはいけない/武士道はすなわち実業道なり/奨励会の事業を選択して置く/人事を尽くして天命をまつ/ 20220508読了 253P 28分 2022/05/08
☆ツイテル☆
4
フライヤー2021/12/02