出版社内容情報
「生き永らえる奴が英雄だ」--危機にさらされながらも生き抜く民衆の実像 北朝鮮の話題には事欠きませんが、ニュースには現れない「見えない人びと」はいったいどのように暮らしているのでしょうか。その疑問に果敢に挑んだのが50年近く韓国研究に打ち込む文化人類学者。フィールドワークが出来ない北朝鮮で人類学的研究をするために取った方法は、面談を重ねて信頼を築き、脱北者に自らの「北」での経験を綴らせた手記をフィールドノートの代わりにすることでした。手記の数は450編に及びました。その内99編を収録。国際政治で話題に上がる割に内部の状況が分からなかった北朝鮮社会が、社会主義公式体制を維持するために膨大な非公式領域によって支えられている現実が確かな情報に基づいて浮かび上がります。
序 章 北朝鮮研究の視点
第1章 住民と社会統合
第2章 社会主義化
第3章 組織生活
第4章 産業政策
第5章 協同農場
第6章 住民に対する供給体系
第7章 自力更生と副業活動
第8章 私的耕作地
第9章 市場(チャンマダン)・商い・交換
第10章 タノモシ
第11章 盗みの社会的含意
終 章 北朝鮮社会の特異性と普遍性
手記
1 教育機会と成分
2 障害者がいると家族全員地方に追放
3 家族から引き離されて平壌から追放された女性
4 平壌に住むことを許された足が不自由な日本人女性
5 障害で平壌から追放された女性を追って結婚した男性
6 人にも物品にも定められる等級
7 忠誠と献納
8 結婚
9 テノリ
10 党事業
11 職場の思想学習
12 初級団体の「自由選挙」
13 「青年近衛隊」の訓練
14 社労青員は職場の模範
15 少年団員の生活
16 人民学校の生活
17 幼稚園
18 女盟員
19 人民班長(1)
20 人民班長(2)
21 平壌の人民班長
22 咸鏡北道穏城の人民班長
23 鉱山村の人民班と社会労働
24 旅行証明書制度
25 軽工業
26 清津化学繊維工場
27 地方産業工場
28 咸鏡北道穏城郡の地方工場
29 窯業工場
30 電力供給の実態
31 地方工場への電力割り当て
32 地方工場の稼働実態
33 セピョル邑
34 セピョル郡の集落状況
35 セピョル郡の農業
36 里党委員会
37 農圃里協同農場
38 農圃里協同農場の農産一作業班
39 農産一作業班の構成員
40 苗床の作業
41 栄養タンジと移植
42 予備収穫高判定
43 労力イルによる分配
44 糧政事業所
45 外国からの支援食糧
46 高原炭鉱における衣類の供給
47 穀物で生活必需品を入手
48 靴の変遷
49 階層の差が住宅形式に反映されている
50 都市のアパートの実情
51 平壌のアパート
52 住宅不足による同居
53 農村の住宅形式
54 暖房の苦労
55 糧券で交換する加工食品工場
56 ククス加工工場
57 家内作業班によるパン交換チプ
58 松茸採り
59 金策製鉄所の副業船
60 製鉄所の紙工場
61 商店副業班の奮闘と挫折
62 林業作業班の副業
63 病院の副業班
64 家内作業班
65 八・三製品で知った自分の労働力の価値
66 八・三生活必需品生産
67 「八・三職場」の工芸品
68 家庭での畜産活動
69 偽の職場勤労者
70 小土地は生命の綱
71 一食稼ぎ
72 黄海道海州の市場
73 清津スナム市場での生きる闘い(1)
74 清津スナム市場での生きる闘い(2)
75 平安南道平城の市場
76 一九九〇年代後半からの市場
77 船荷の卸商
78 市場の規制(1)
79 市場の規制(2)
80 ククス商売の苦闘
81 ククス店を襲撃されて
82 パン作り商売
83 豆腐商売
84 飴商い
85 酒造りを手始めに行商
86 ビール商売
87 スルメ
88 ロープ商売
77 モウムトン・タニモシ
90 タニモシ
91 モアモッキ・契
92 タノモシ
93 タニモチ
94 タナモシ(1)
95 タナモシ(2)
96 子供の盗み
97 飢えと盗み
98 人民軍兵士による盗み
99 盗みの実態と含意
番外事例
1 個人経営の菓子工場
2 順川の個人経営炭鉱
伊藤 亜人[イトウ アビト]
内容説明
「生き永らえる奴が英雄だ」危機にさらされながらも生き抜く、民衆の実像99編の手記を収録。
目次
北朝鮮研究の視点
住民と社会統合
社会主義化
組織生活
産業政策
協同農場
住民に対する供給体系
自力更生と副業活動
私用耕作地
市場(チャンマダン)・商い・交換
タノモシ
盗みの社会的含意
北朝鮮社会の特異性と普遍性
著者等紹介
伊藤亜人[イトウアビト]
1943年東京生まれ。東京大学教養学部卒業(1968年)、大学院社会学研究科修士(1970年)、東京大学助手(1970‐79)、助教授(1979‐90)、教授(1990‐2006)、琉球大学教授(2006‐09)、早稲田大学アジア研究機構上級研究員・教授(2009‐13.3)、その間ハーヴァード大学客員研究員(1977‐79)、ロンドン大学SOAS上級研究員(1996.9‐97.3)、韓国ソウル大学校招聘教授(2002.3‐12)。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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